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理念・政策・メッセージ

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2026.09.14

「槍ヶ岳にて、時をつなぐ山行」
〜播隆上人200年の節目に寄せて〜


 2026年9月4日から6日にかけて、2泊3日の槍ヶ岳登山に参加しました。思えば、ちょうど10年前、「山の日」制定を前に初めて槍ヶ岳の穂先に立って以来の再訪です。節目の年に、再びこの山へ向かうことになったのは、何かに導かれたような心持ちでした。


1日目 播隆祭へ向かう道すがら
 9月4日の早朝、松本駅前の播隆像の前に仲間が集い、第48回播隆祭記念式典へと向かいました。今年は播隆上人初登頂から200年、そして開山から198年という節目の年。毎年行われる追慕登山に、私もご縁あって加わることになりました。天候が案じられましたが、26名の仲間が心をひとつに出発しました。
 玄向寺の荻須真尚副住職の先導で、上高地の北アルプス遭難者慰霊碑にて供養を捧げ、徳澤園、横尾ヒュッテを経て槍沢ヒュッテへ。ここが1日目の宿となりました。
 夜には播隆祭前夜祭が催され、槍ヶ岳山荘の穗苅大輔社長、荻須副住職から播隆上人の足跡が語られました。参加者の前で、中田信一郎氏と私が、200年前に播隆上人を支えた地元の先祖の子孫であることが紹介され、歴史が静かに現代へとつながっていることを深く感じました。
 「山の日」制定に力を尽くしたのも、こうした先祖の思いが私の背を押したのかもしれない――そんな思いが胸に満ちました。 槍沢ヒュッテの灯りは早く、夜の20時30分には静かな眠りへと落ちていきました。


2日目 穂先へ、10年ぶりの再会
 9月5日の早朝、澄んだ空気の中を槍沢ヒュッテから出発。ババ平、播隆窟、殺生ヒュッテ、東鎌尾根を越え、槍ヶ岳山荘へと登りつめました。天候は申し分なく、山の表情が美しく輝いていました。
 山荘では穗苅社長、そしてグレートトラバースで知られる田中陽希氏と挨拶を交わし、休む間もなく穂先へ。30分ほどで頂上に立つことができ、山頂でも田中氏と再び合流しました。
 10年前の初登頂の感動が鮮やかに蘇り、古希を迎えた身で再びこの場所に立てたことに、静かな自信が湧き上がりました。
 夕刻には槍ヶ岳山荘で播隆上人追慕祭が行われ、ここでも中田家・務台家の先祖と播隆上人の関わりが紹介されました。私にも挨拶の機会が与えられ、先祖の遺徳が「山の日」制定の動機となったことをお伝えしました。200年前の思いが現代に息づき、皆で共有できたことは、心の底から嬉しい出来事でした。
 そして、槍ヶ岳からの景観は言葉を選ぶ必要もないほどの美しさでした。太陽の角度、雲の流れにより刻々と姿を変える山並みは、自然が天才的な芸術家であることを教えてくれます。 夕方にはブロッケン現象が現れ、播隆上人が阿弥陀如来の影と捉えたという伝承が胸に響きました。


3日目 山を下り、歴史へ帰る
 9月6日の早朝、槍ヶ岳山荘を後にし、殺生ヒュッテ、播隆窟、槍沢ヒュッテ、横尾山荘、徳澤園を経て、一気に上高地河童橋へ。雨に降られることなく、所期の目的を果たすことができました。
道中では多くの外国人登山者と会話を交わし、ドイツ、ノルウェー、ポーランド、オーストラリア、イスラエル、シンガポール、台湾、タイ、香港など、世界中から北アルプスを目指す人々がいることを実感しました。10年前とは明らかに異なる光景でした。
 同時に、登山道整備、山小屋の維持、気候変動、水や電源の確保、環境保全、財源確保など、山岳環境を支える多くの課題を改めて認識しました。体系的な政策の確立が不可欠であることを強く感じました。
 夕方、松本駅前の播隆像に無事帰還を報告。2泊3日で歩いた距離は50キロ、歩数は8万歩。古希の身には限界に近い運動量でしたが、心は満ち足りていました。
 帰宅後、槍ヶ岳山荘先代の穂苅三寿雄・穂苅貞雄著『播隆』を再読し、三郷村誌の幡龍上人の記録にも目を通しました。実際に槍ヶ岳に登った後の読書は、言葉が深く染み入るもので、そこにも先祖の足跡が確かに刻まれていました。 二重の意味で、心に残る槍ヶ岳登山となりました。そして、2年後の槍ヶ岳開山200年に向けて様々な企画が頭に浮かんでおり、新たな目標が出来ました。


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