理念・政策・メッセージ
2024.06.06
「地球温暖化対策とガソリン価格引下げ補助金」
令和6年6月3日、長野県の自治体関係者と国会議員の定例懇談会が開催され、長野県関係与野党国会議員が勢揃いして地元の要望を伺い、それに対する質疑を行いました。時間の制約の中で、骨太の意見交換ができたと思います。
その中で、興味深いやり取りが、与野党議員の間で行われました。長野県からの要請の中で、ガソリン価格の引き下げを継続する要望が提出される一方で、地球温暖化対策を進め電気自動車の導入促進、バスやトラックの脱炭素対策を進めるべきとの要請が目につきました。
私からは、ガソリン価格の引き下げはガソリン車の活用を促進することになり地球温暖化対策には反することになる。その一方で脱炭素政策を求めるとしたら、両者の関係について整合性のある説明が求められる、と申し上げました。特に、高いといわれている日本のガソリン価格はリッター170円台であり、欧州がリッター300円の水準であるなど国際水準からみると相当低い水準であり、先進諸国の中では最低水準であることを付け加えました。それを国が補助金を付けて更に安くすることは、脱炭素を進める国際常識からすると批判の的となりうる、と申し上げました。
これに対して、立憲民主党の下条みつ代議士は、ガソリン価格の国際水準は意識すべきではない、わが国の中で長野県が特に高いことは問題であり、それを引き下げる必要がり、トリガー条項も発動して更にガソリン価格を引き下げるべきだ、消費税も引き下げるべきだと、脱炭素政策を度外視した国民の負担減を求めていました。興味深いことに、その意見に対して同じ立憲民主党の篠原孝代議士が、ガソリン価格が国際的にみて最低水準の日本で、政府が補助金を出して更に引き下げ、更にトリガー条項を発動して税金を低くするとしたら、国際会議の場で別メニューの化石賞付与というみっともない評価を受けることになる、とんでもないと反駁していました。
目先の観点でものを考えるか、長期的視野でものを考えるか、同じ政党の中でも真反対の意見があることが、平場の議論で露顕しました。実は、私は環境委員会で篠原代議士の質疑を聞いていますが、篠原代議士の上記の発言は委員会でも聞いていました。長野県関係者も、国に対して要請行動を行う場合には、要望事項の間の整合性を考えた要請を行って欲しいと改めて思いました。
篠原代議士は、長野県の要望の中で、農業分野の要望が殆ど無いことにも苦言を呈していました。今国会で食料・農業・農村基本法が改正され、食糧安全保障政策を推し進める方向性が合意されたのに、長野県は何を考えているのか、との指摘は、その場に居合わせた関係者の心に響きました。与野党を問わず、政策の本質を見据えた議論が必要な時代を迎えています。