理念・政策・メッセージ
2018.08.17
「第3回「山の日」記念式典に参加して考えたこと」
〜学校登山の普及を願う〜
2018年8月11日に、鳥取県大山町で第三回山の日記念式典が催行され、私も「山の日」議員連盟事務局長として参加させて頂きました。初回の松本市上高地、二回目の栃木県那須町の記念式典に引き続き三回連続の式典参加となりました。
鳥取県での式典は、大山開山1300年記念の年に併せたもので、平井伸治鳥取県知事の強い思いのこもった内容となりました。大山の山の恵みについて、農家、酪農家、豆腐製造業、漁師の皆さんから実感のこもった感謝の言葉があり、若い竹口大紀大山町長は「山の日」を記念して大山親子登山を決行したことが息子の自然保護への気づきをもたらすことができたと語っておられました。
大山は登山者の増加により頂上が禿山になり、自然破壊が進んでしまった過去があったとのこと、それを回復するために地元の皆様が自発的に「一木一石」運動を行い、頂上の植生の回復を果たすことができたとの、謂わば、我が国の自然保護活動のメッカのような歴史があるのだそうです。今では、自然保護活動と自然に親しむ活動を両立させる運動が確立しているとのことでした。言葉では知っていましたが、地元でそれが多くの皆様の活動に組み込まれていることに驚きを感じました。
政府・与党においでは、来年度、森林環境税を導入することが決まっていますが、この税の使途をこうした活動にも充当できることになっています。私は税制改正の議論の中で、この税は、敢えて言えば、「山の日」記念税制であり、山を元気にするために柔軟な使い道を考えるべきと主張してきましたが、国から自治体に譲与されるこの税収を、山の自然回復、利用環境の充実のために活用して頂きたいと願っています。
ところで、私の地元長野県には学校登山の伝統があります。中学校の生徒が、アルプスを含む地元の山に登る伝統です。穂高連峰の地元中学校である奈川、大野川の中学生が、地元登山家の充実のサポート体制の元に、合同チームで3190mの奥穂高岳に登頂したという最近の新聞記事に接しましたが、このきついけれども達成感あふれる登山体験を経た中学生にとって、学校登山の体験は一生の宝となるものと推測されます。人生の中で苦しい経験を経る中で、若い時代に困難なテーマに挑んでそれを克服する体験が強靭な若者を作る原動力になろうことは容易に想像できます。
私も中学生の時代に燕岳登山の計画がありましたが、台風により中止になった思い出があります。当時は、子供心に、本音では行かずに済んでホッとしたという気持ちがありましたが、振り返ってみて、あの時に燕岳に登っていたならば私のその後の人生はより豊かなものとなったのではないかと、悔いが残ります。
以前、私の高校の恩師から、子供たちに中学校時代の最も思い出に残ったことを作文に書かせると多くの子供が学校登山のことを書くと伺ったことがありました。苦しいけれどもこの達成感は得難いものがある、だから、この学校登山の伝統を消さないで欲しい、むしろこの伝統を全国の子供たちに普及して欲しい、との要請を頂きました。実は長野県にあっても、より登山が易しい山に変更になったり、登山自身を止めるところも出てきており、学校登山には厳しい状況も生じているのです。
「山の日」は毎年やってきます。多くの国民の皆様に、自分にとっての「山の日」の持つ意味を考えて頂きたいと願います。そして特に子供たちには、それぞれの故郷の山々に「親しむ機会を得て、山の恵みに感謝する」チャンスを与えていかねばならないとの思いを強く懐きます。