理念・政策・メッセージ
2011.08.29
「再生可能エネルギーの一定量確保の手法」
〜自治体毎に地域の電力需要の一定割合を再生可能エネルギーにより確保〜
山に登ると新鮮な空気と程よい疲労感の中でよいアイデアが生まれることがある。8月下旬に大学のゼミ生有志と白馬の大雪渓の麓の白馬尻山荘に宿泊し、大学ゼミの延長の「課題解決研究」の議論を行う中で、興味深いアイデアに出くわした。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が導入されつつあり、再生可能エネルギーを普及する前提条件は整うこととなったが、それだけで再生可能エネルギーが急速に増えるとは限らない。これから再生可能エネルギーを掘り起こす国民的な運動が必要であるように思える。
そのための一つの手法として、ゼミの学生の中から、「自治体毎に、それぞれの地域の電力需要の例えば30%以上をその地域に賦存する再生可能エネルギ−源による発電を義務付ける制度」を導入したらどうかという提案が飛び出した。通常、電力供給は民間企業が行うものだが、再生可能エネルギー源確保を自治体の義務として位置付ける考え方は意表を突き、新鮮なアイデアのように思えた。
固定価格買い取り制度により、再生可能エネルギーによる発電売却収入は一定の計算が出来る。そうであれば、新たな義務付け制度の導入により、その収入を見据えて、それぞれの地域に賦存する固有の再生可能エネルギ−源の探求が自治体主導で進むことになる。地域の特性を見据えた知恵とアイデアの勝負が始まる。
各地方自治体はノルマを果たすために、行政だけではなく業界、アカデミズムを総動員した戦略的仕組みを作ることも迫られる。この仕組みにより再生可能エネルギー確保に向けた一大国民運動が巻き起こることにもなる。
自治体が地域に固有の再生可能エネルギーを掘り起こしやすくするための制度改正も必要になる。水利権の調整権限、電気事業法上の権限など、自治体に大きく権限移譲を行うことも当然求められる。
世界の投機資金が再生可能エネルギーの技術・ノウハウに向かっていると言われている。この資金の投資先の受け皿として、日本の自治体毎に「再生可能エネルギ−発電枠の確保義務付け」制度が機能することになるかもしれない。
白馬尻山小屋で、裸電球の元、ゼミ生と将来に向けた楽しい議論が出来た思いがする。