自由民主党

衆議院議員 むたい俊介オフィシャルサイト 長野2区 自民党
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理念・政策・メッセージ

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2011.07.08

「東日本大震災被災地支援と関西広域連合」

〜お互いが持つものを与え、持たざるものを受ける仕組み〜


 過日、霞が関で、被災自治体支援のため国から被災県に派遣された若手職員から話を伺う中で、関西広域連合構成府県からの支援が組織的、持続的で、被災自治体の中で存在感があり、受入れ団体の士気にも大きな影響を与えている旨の話を伺った。


 関西広域連合は、3月11日の東日本大震災発災直後の13日に構成自治体の知事が集合し、被災地支援の手法を話し合った。「対口支援」と中国語(四川大地震で中国が採用した方式)で形容されるカウンターパート方式の支援方策をいち早く広域連合構成府県で構築し、それぞれ府県が割り当てられた被災県に被災自治体支援に入るというものである。


 この支援は、その迅速さ、規模、支援内容の充実度により、被災自治体から大きな評価を得ている。阪神大震災の経験のある兵庫県を中心に、初動対応、復旧、復興に豊富なノウハウのある関西広域連合は、例えば瓦礫処理に関しては「阪神方式」を伝授し、支援物資の割振りには経験を生かしたアドバイスを行い、震災直後の救援支援からその後の避難所運営、罹災証明の発行など災害局面のフェーズの変化に応じて、適時適切な柔軟な対応を行っている活動が報告されている。


 発災直後の初動の時期において、大阪・和歌山から岩手に77名、兵庫・徳島・鳥取から宮城に139名、京都・滋賀から福島に37名が入り、各府県では市町村との連携の中で市町村もこれに加わり、場所によっては現地支援本部や支援拠点を設け、地域ごとの実態の即した復旧復興に従事しているとの活動報告が行われている。


 広域連合長の井戸敏三兵庫県知事は、関西広域連合構成の7府県が支援担当県を決めるカウンターパート方式を採用したことに関し、「支援が一か所に集中しない効果を生んだ」と評価しつつ、支援自治体職員の役割については、「避難所の世話やまちづくりの手順をアドバイスする」とし、「地元の役所の職員が本来の業務に戻る」ことを側面支援する配慮を滲ませている。これは、阪神大震災を経験した自治体ならではの、災害フェーズの展開を念頭に置いたきめ細やかな感性であると言える。


 被災直後、自治体機能のバックアップに対し、政府もそれなりの対応を行い、各省庁も人員を派遣するなどの対応をしたが、関西広域連合の様なネットワーク組織の動きが希薄な中で、広域連合の果たしている役割は被災地でも称賛の対象になっている。


 さて、この関西広域連合とは何なのであろうか。大阪府、京都府、兵庫県などの2府5県が参加する府県参加の特別地方公共団体である。地方自治法上の手続きを経て2010年末に発足した広域防災、広域観光・文化振興、広域産業振興、広域医療、広域環境保全、広域職員研修、資格試験・免許等について、各府県が役割分担を行い府県境を越えた協力体制と実施を分担するというものである。


 関西広域連合の発足後、早速、広域防災部門で東日本大震災に対する協力・支援活動に大きな成果を上げることが出来たのは、広域連合発足の成果を示す事例としてはこれ以上のものはない。


 さて、当然のことのように道州制議論と広域連合の関係が議論になる。道州制は都道府県を廃し新たに広域地方自治体としての道州を全国9〜13のブロックに置くという構想である。広域連合は、都道府県の存在を前提に、広域連合内の都道府県域を越える行政課題に取り組む体制であり、両者の組織的前提は異なる。


 しかしながら、明治、昭和、平成の市町村合併を経て、基礎的自治体である市町村の行政基盤が強固になって行き、これまで都道府県が果たしてきた1,広域事務、2,連絡調整事務、3,補完事務のうち、2,3の機能が発展的に希薄になる中で、都道府県では1,の広域事務に軸足を置いた仕事が増え、その中でも都道府県を越えた広域連携が進んでいくことは容易に想定できる。関西広域連合がその所掌事務としているものは将に1,の広域事務であるが、都道府県の役割が純化していく中で、その延長線上には道州制議論が遠望できる。


 諸外国でも、連邦制度を採用する国においては一種の国(邦)である各州の権限は強い。単一国家でもフランスやイタリアでは、広域自治体である州を憲法上の広域自治組織として位置付けてきている。英国でもRDA(地域開発機構)という広域行政組織が設置された経緯がある(2010年の政権交代で廃止になったが)。欧州ではEUという超国家組織の力が増し、国民国家の役割が相対的に縮小する中で、国民国家内の地域発展の核となる大括な組織の在り方を模索する動きが生じていると見ることが出来る。


 従来、自民党政権下で議論されてきたわが国の道州制議論が、今後の政局の動きの中でどのように復活し再度議論されて行くか、今のところ見込みは立っていない。しかし、少子高齢化が進む中で、日本の統治機構とその組織の在り方を議論しなければならない時期は必ず到来する。そして、その先鞭とも言える関西広域連合の誕生と発展は注目に値する。今回の東日本大震災に際しその果たしているその機能に対して、道州制に注目している識者の眼差しは熱い。


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