むたい俊介メールマガジン第326号 2022.07.31
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「駐日ウクライナ大使から学ぶ日本の安全保障」
〜大使が松本市、信州大学で若者に講演〜
ロシアによるウクライナ侵略以降、私たち有志が松本駅前で12回に及ぶウクライナ支援街頭募金の活動を行い、義援金を駐日ウクライナ大使館に持参したことが契機となり、駐日ウクライナ大使コルソンスキー閣下を松本市にお呼びする段取りに漕ぎつけました。
7月16日、臥雲義尚松本市長、芝山稔市議会議長、上條美智子副議長と面談の後、信州大学で大使が講演し、ロシアのウクライナ侵略の背景と日本への教訓を若者世代にしっかりとお伝え頂きました。旧ソ連崩壊後、ロシア、米国、英国で結んだウクライナの安全を保障したはずのブダペスト覚書が簡単に破られ、かつ何のペナルティーも講じられないというウクライナの厳しい経験を踏まえ、他国の良識に信頼して自国の安全保障を考えてはならない、との強烈なメッセージが日本の若者にしっかりと伝えられました。大使は、ウクライナはロシア一国が脅威であるが、日本は「三か国の脅威」に囲まれており、ウクライナ以上に厳しい安全保障環境にあると指摘されておられました。国連勤務希望の高校生からの質問には、「国際社会の安全確保に全く貢献できていない今の国連に勤務する価値はない」と手厳しい返答があり、その高校生は戸惑っていました。
我が国は、国際連合の機能を殊更に信望しています。そして、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよう」(日本国憲法前文)という他人任せの平和実現願望が蔓延している我が国には、2月24日以降のロシア侵略に晒されているウクライナの現実は強烈な衝撃となっています。これまで、平和憲法があるから日本は守られていたとの学者や一部政党の主張が多くの国民に比較的すんなりと受け入れられてきました。しかし、悪意ある相手が身勝手な主張を盾に我が国に手を出してきたときに、日本には平和憲法があるのだから手出しはまかりならんと言って相手は退散するのかということにはなるはずがありませんが、日本人は、日本さえ平和を願っていれば相手はそれを尊重するはずだという平和願望に包まれて過ごしてきたきらいがあります。
大使は、世の中には、悪意を持った国というものが必ず存在し、それに対峙するためには、1強い軍事力・自衛力を持つこと、2国民が自分の国は自分で護るという強い意志があること、3いざという時に共にに闘ってくれる同盟国が存在していることの3つの要素が重要であると強調されておられました。ウクライナは、ソ連崩壊の時点で、もはや敵はいなくなったと理解し、先のブタペスト覚書により核を放棄し、軽武装に踏み切り、自国の守りに手を抜いたところをロシアに付け込まれたと猛省を語っておられました。
その現実社会を目の当たりにして、我が国の国民の間でも、理想的平和主義で自国の安全は守れない、自分の身はまず自分で護る、その上で同盟国との関係強化が大事であるという意識が急速に高まっているように感じられます。参議院選挙が与党勝利で終わり、いよいよ憲法改正の議論が本格的に開始すると見込まれますが、我が国の安全基盤を確保するために活発な噛み合った憲法議論を国会の場で行っていくことを国民の多くは求めていると受け止めています。
私から大使に、「何故ここまでウクライナはロシア侵略に徹底して抵抗するのか、日本人ならばここまで犠牲が増えると降伏論が出てくる」と問うと、「今回の戦争が400年に及ぶロシアからの圧迫、脅威から漸く脱却できる機会だと捉えているからだ。ロシア帝国時代、あるいは旧ソ連支配時代にウクライナは何度となく言語の使用禁止、民族浄化、意図的な飢餓に見舞われた。ホロドモールと言われる1933年から1934年に起きたスターリンによる悲劇の際には700万人の餓死者が出たと我々は見積っている。それをソ連政府は隠し続けてきた。独立を確保できないと国民は独裁者に何をされるかわからないという恐怖心がウクライナ人の遺伝子には刻まれている。だからウクライナ人は死を厭わずにロシア軍に立ち向かっている」との驚愕の答えが返ってきました。日本の政治家の中には、命が助かるためにウクライナはロシアと妥協すべきだと盛んに発信している政治家もいますが、大使はそのような意見はウクライナ人は全く相手にしないと断言しておられました。
翌日の7月17日、大使一行は安曇野市役所に太田寛市長、平林明市議会議長、一志信一郎副議長ほかの皆様と懇談の後、相澤病院を訪問し、相澤孝夫理事長をはじめ病院幹部の皆様と意見交換を行いました。相澤病院では戦争で傷ついたウクライナ国民の受け入れの可能性について打診されておられました。既に外交ルートで打診が行われているとのことでしたが、安全で自然環境が豊かな長野県の地で傷ついたウクライナの傷病者が癒しの場を得られることは、日本及び長野県の国際貢献として新たな取り組みとなり得ると受け止めました。同日午前中に長野市内で開催の長野県鍼灸師会法人化70周年記念式典でも、私の挨拶の中で、ウクライナ傷病者のリハビリ受け入れの際の鍼灸師会の協力も依頼させて頂きました。
ところで、こうしたウクライナへの私の肩入れを快く思っていないのか、17日にロシア外務省がロシア入国を制限するリストに私を掲示したとのニュース記事が流れました。それをウクライナ大使に伝えると、「おめでとう」と祝福を受けました。
自民党長野県第二選挙区支部長
衆議院議員 務台俊介
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