むたい俊介メールマガジン第301号 2020.08.30
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「安倍総理の辞意表明に寄せて」
安倍総理が突然の辞意表明を行い、予期せぬ事態に驚くばかりです。我が国の総理の去就がどれほど世界を震撼とさせるのか、世界の報道を見るにつけ、安倍総理のもとで日本の世界におけるプレゼンスが想像以上に高まっていたことを感じました。8年弱の安倍総理の実績は、少なくとも対外関係においては大きいものがありました。平和安全法制の構築、特定機密保護法の制定により確実に我が国の安全保障の水準は上がりました。G7における世界の首脳を唸らせた安倍総理の当意即妙な対応はこれまで頻繁に交代していた首脳ではなし得なかった長期政権の賜物です。地球儀を俯瞰する戦略的外交は世界の日本への眼差しを変えました。米国への窓口を閉ざさない形でTPPをまとめ上げたことも鮮やかでした。
内政においてもアベノミクスによる経済の好循環の実現、度重なる災害に対する迅速果敢な対処、地方創生への取り組み、一億総活躍社会の実現、最低賃金のこれまでにない引き上げといった実績がありました。安倍政権はタカ派政権だと思われていますが、内政外交の結果を見ると意外にリベラルで野党のお株を奪う政策実現もこなしているように考えています。
一方で、積み残しの課題もありました。北朝鮮による拉致問題の進展は叶いませんでした。北方領土問題、竹島問題などの領土問題は結果的に手つかずになっています。憲法改正については、自民党の内部の改正項目のまとめ上げは行いましたが、国会での審議が進まない状況です。そして、我が国の国土構造の宿痾とも言うべき東京一極集中は加速しているといっても過言ではありません。すべての課題を一つの政権で結果を出すことは困難です。安倍総理の手掛けた仕事の結果をしっかりと踏まえ、残された課題、新型コロナで顕在化した我が国の経済社会のあり方を問う課題を次の総理大臣のもとで果敢に取り組んでいかなければなりません。
安倍総理と私のお付き合いは、20年近く前、私が総務省消防庁防災課長で内閣官房の有事法制担当参事官の併任を受け、当時国民保護法制を作る作業に携わっていた頃に遡ります。安倍総理は、当時、小泉内閣の官房副長官として国民保護法制をまとめ上げる際の議論に参加していました。私が政治を志し、麻生内閣による解散総選挙により惨敗し浪人していたときに、安倍総理のお人柄に接する機会がありました。それは菅義偉代議士の紹介により少人数の食事会でご一緒した時の思い出です。様々な政治家のエピソードに詳しく、人の気持ちを引き寄せる魅力をお持ちだと感じました。2012年の総選挙の前には、大町市での決起大会にお越し頂き、原稿なしに私の経歴、得意分野を詳しくご紹介いただいたことに驚いたことを覚えております。2012年の総選挙中は、松本市内の花時計公園で大勢の有権者を前に熱のこもった演説をしていただきました。選挙に絡む折だけではなく、白馬村を襲った神城断層地震、千曲川の水害の際にはいち早く駆けつけ被災者の激励をしていただきました。困っている皆さまを助けるのが政治家の最大の役割だという信念に裏付けられた行動のように受け止めていました。
最近の安倍総理が、少し元気がなくなっていることを心配していました。そうした中で、8月28日夕刻の辞意表明は、そこまで体調が悪くなっていたということにショックを受けると同時に、「病気と治療を抱え、体力が万全でない苦痛の中、大切な政治判断を誤る、結果を出せないことになってはならない」という迫真の言葉を伺い、この方はほんとうの意味で国士であると感じました。世界の指導者の中には、権力の座にしがみつき、国が混乱状態になっても自己の立場を維持保全しようとする人が少なくない中で、自分自身よりも国家のことを思うその態度に感銘を受けました。
我々としてはその安倍総理の思いをしっかりと継承し、民主主義のルールにより、我が国の行方を誤らないしっかりとした政治的リーダーを粛々と選ぶ手続きに移行しなければなりません。「舵取る水手は代わるとも我が乗る船は永久に」理想の国造りに進まなくてはなりません。
最後になりましたが、安倍総理、これまでのご労苦、誠にお疲れさまでした、そしてありがとうございました。暫くはご静養され、引き続き我々をご指導頂けることを心からお願い申し上げます。
自民党長野県第二選挙区支部長
衆議院議員 務台俊介
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