むたい俊介メールマガジン第253号 2017.08.28
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「お盆で実感した旧陸軍墓地管理の課題」
〜旧松本陸軍墓地の慰霊祭に参加して〜
今年のお盆休みは地元でゆっくりと過ごすことができた。昨年は政務官としての仕事があり、お盆中も東京、岩手県に赴く日程をこなしていたが、地元に張り付いていられるのはある意味で有難いことだと思えてくる。というのも、やはりお盆の時期は、心を落ち着けて先祖や地元の歴史と向き合うべき機会だと思うからである。
今年は、迎え盆、送り盆をしっかりと丁寧に行うことができた。昨年から今年にかけて、2人の叔父が他界し、今年のお盆はその新盆であった。お世話になった方も他界された方が多く、選挙区内の新盆巡りを重ねた。豪雨災害に見舞われた長野市鬼無里地区では、被災地の慰問もかねて廻ることができた。
地元の自宅に滞在する間、故人となった父親の来ていた背広を整理する中で、何故か仕立て直し可能な背広を選別する気持ちになり、数着の背広を太めの私でも着られるように地元の洋服店に手直しするようにお願いした。もったいないという気持ちと、父親の背広を着ることで父親とともにいられるのではという殊勝な思いを懐いたのかもしれない。
穂高神社霊社の御霊祭り、旧松本陸軍墓地の慰霊祭にも参列させて頂いた。双方ともにこの地域からお国のために出征し、一命を捧げた英霊を慰める儀式であり、遺族会の皆様を中心に催行されている。双方とも公的関与が行われない中で、遺族会の皆様の気持ちがこの行事を継続させている。しかし、遺族会が先細る中でこのお祭りが今後どうなっていくのか心配する声が出ている。
特に旧松本陸軍墓地の慰霊祭は深刻である。旧陸軍墓地の管理責任は不明確で、松本市では護国神社が市から委託を受けて管理しているが、地元自治体の当事者意識は薄く、6年前の長野県中部地震の際に骨壺が乱散した事態にも、長野県当局や地元自治体は対応せず、護国神社の神職がボランティアで対応したのが実際であった。全国各地に所在する軍人墓地の管理を今後どうするかが各地で問題化しているとの報道もある。
戦後の歴史を紐解くと、旧陸海軍人の戦没者を慰霊する墓地は太平洋戦争後、国が地方自治体に管理を丸投げしたことが原因で、各地で荒廃が進む事態となっていったとされる。8年前、参院決算委員会で管理責任について問われた舛添要一厚労相は「関係省庁と連携を取りながら国の責任としてきちんと管理していきたい」と答弁するも、その後、事態が改善されたとの実感はない。
明治維新以降、陸海軍人の英霊の遺骨を収めた軍人墓地は、明治期から戦前までは陸軍省、海軍省が管理していたが、敗戦で両省は解体され、墓地の管理規則もGHQにより廃止された。その後、国有財産として墓地を移管された当時の大蔵省は昭和21年に墓地及び公園として使用することを条件に地方自治体に無償で貸与・譲与したことにより、管理責任が曖昧になったと考えられている。
昭和30年代に当時の厚生省が行った調査では、全国に陸軍墓地75カ所、海軍墓地7カ所が確認されたとされる。旧松本陸軍墓地もそのうちの一つである。完全に民間ボランティアによる日常管理に依存したり、中には全く管理も慰霊も行わない所もあるとの報告もある。特に深刻なのは、これらの墓地が被災した場合の対応である。平成17年の福岡県西方沖地震で、石碑がずれ骨壼が落ちて遺骨が散乱する被害が出た福岡市谷陸軍墓地のケースでは、民間の有志で修復費を集めて原状を回復したと報道されている。前述の平成23年の長野県中部地震の際にも旧松本陸軍墓地では骨壺が落ちて遺骨が散乱した際は神職のボランティアで対応したが、墓所の壁はひびが入ったまま手つかずの状態にある。
こうした状態を放置することは国家として恥ずかしいことである。本国憲法施行70周年の今年、戦後の贖うべき負の歴史の一つとして軍人墓地の維持管理、慰霊は基本的に国の責任で行うこととし、自治体も当事者意識をもってその対応に向け行動しなければならない。
自民党長野県第二選挙区支部長
衆議院議員 務台俊介
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