むたい俊介メールマガジン第248号 2017.05.19
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「故有賀正前松本市長を偲ぶ」
過日、有賀正さんがお亡くなりになった。この数年体調を崩され、お目にかかる機会が少なくなっていたものの、ご不在と分かっていてもご自宅を何度かお伺いさせて頂いてきた。
その有賀さんのご自宅前には、顕彰碑が建立され、「先人木を植え、後人涼を楽しむ」と記されている。有賀さんの人生はまさにそのように評価されるものであった。
四期目の市長選に臨んだ折に、当時の長野県知事から対立候補を差し向けられ、有賀さんが政治生命をかけた市民芸術館建設に反対する市民からは、大きな反発を受けておられた。私は当時総務省におり、有賀さんは、松本の二十年先を見越してこうしたプロジェクトを進めておられるようにみえた。有賀さんは、市長選挙に負け暫くたった後、「当時芸術館に反対した人が、今は一番芸術館を使っている」と呟いておられたが、何故かその言葉に嫌味はなく、むしろ自分が果たした「身をすててこそ浮かぶ瀬もあれ」とも言うべき役割をしっかり踏まえ、ある意味で民主主義の非情さを乗り越えて、恬淡とされておられたように感じた。
私と有賀さんは、四半世紀を超える縁があった。私がまだ旧自治省の課長補佐時代からのお付き合いであり、有賀市長は霞が関とのネットワークが広範で、私は霞が関における松本市の東京事務所機能を果たさせて頂いた。常連だったお店で、有賀さんが持参されたセロリを料理してもらい、霞が関の幹部の皆様と懇談したこともあった。今では考えられない優雅な時代であったが、そのことで松本市の思いが霞が関にしっかりと伝えられたことは事実であった。松本市役所職員を霞が関の各省のポストに配属するという人事交流のお手伝いもなどもあり、有賀さんと私の関係はいっそう深まった。
私が政治の道に踏み出すようになったきっかけも、有賀さんの存在があった。有賀さんがいなければ、私は国家公務員として人生を全うしていた可能性が極めて高いと感じている。人と人の出会いは、良きにつけ悪しきにつけ関わった人の人生を変えるものだというのだということを強く意識している。
落選中も、何度となくご自宅にお伺いし、有賀さんの後援会組織にもご紹介いただき、また有賀さんご自身の落選体験から得た教訓もしっかりと伝授いただき、不遇の時の過ごし方を教えていただいた。
信義に厚い有賀さんは、佐賀県知事に出馬した元長野県地方課長の古川康氏(現衆議院議員)の応援にも、わざわざ彼の地に駆けつけていただいた。現役時代の古川さんに世話になったので、彼の危急存亡の時に一肌脱ぐのは当たり前だと、矜持を示していただいたものと思っている。
何事にも情熱をもって当たる。中途半端は許さない。今日の松本市の発展は、有賀さんの築いた基盤の上に成り立っているといっても過言ではない。自宅でご遺体と対面した時には、花いっぱい運動を全国に普及された有賀さんを惜しむかのように、弘法山の桜が咲き誇っていた。
この満開の桜に見送られて有賀さんは旅立たれた。どうかごゆっくりとお休み頂きたい。そして有賀さんが夢見た松本の発展は、我々残されたものが、しっかりと次の世代に引き継ぐことを改めて誓いたい。
自民党長野県第二選挙区支部長
前衆議院議員 務台 俊介
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