むたい俊介メールマガジン第160号 2012.04.12
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「深刻な空き家放置の現状を打開する手法」
地域を歩いていて感動する一方、残念に思うことも少なからずあるが、そのうちの一つは地域に放置された空き家が目立つことである。ものによっては、倒壊の危険があり道路に倒れ落ちてくる危険性があるものもある。或いは、私の近所の例だと、空き家が角地を占めそれにより道路拡張が阻害され、交通の要路のボトルネックとなっているものもある。更に、廃業したモーテルが営業停止したまま放置され、安曇野を代表する鉄道駅の近くで不気味な姿を晒しているものもある。
安曇野の景観を求めて来訪した旅人が、雄大なアルプスの自然・田園風景の組み合わせと放置された建造物のミスマッチに幻滅する例は決して少なくない。
私は、安曇野市景観審議会委員に就任して初会合の折に、安曇野の景観をよりよくするために、景観条例をそうした放置建造物の撤去・整理に活用できるように改正すべきではないかと申し上げた。その折の担当課の方の返答は、「個人資産に係るもので対応は容易ではない」であった。
しかし、そのような腰の引けた対応で、安曇野という世界に誇る景観を守り地域の魅力を高めていくことが果たして出来るのかと、いささか歯がゆい思いをした。
小谷村に姫川温泉というところがあるが、倒壊寸前の廃屋があり、地域の皆さんが冬場の雪による倒壊を危惧していたところ、村当局は建物の所有者との債権債務調整を行う中、土地・建物の所有権を村に移転する手法で危険建物を撤去した。私も代執行を行うべきだと前の村長さんに進言したことがあったが、村は実質的にそれを実現した。やればできるのだ。
建築基準法には、「著しく保安上危険な建物」について所有者への撤去命令や代執行の規定があるが、現実にはなかなか活用されないのが現状である。この規定の要件が厳しいという見方もあろう。そうであれば、空き家の現状に苦しむ地方自治体は、国の制度改革を待つばかりではなく、自ら条例により、撤去命令、代執行の実施を行える仕組みを作ることができる。
2012年4月7日の朝日新聞に掲載された旧知の神田誠司編集委員の記事の中に、空き家の所有者に管理を求めたり、撤去を命令したりする「空き家対策条例」を全国の31自治体が制定している旨の報道があった。全国で空き家が増え、倒壊や放火などの問題が起きており、条例化の動きが加速しているとの報道である。記事によれば、最終的に条例に基づく建物撤去の代執行を定めている自治体は10自治体で、撤去費用は所有者に請求することも定められている。
私もこうした動きを全国で加速していくことが是非とも必要であると考えている。こうした公権力の行使の手法を整備する一方で、人口減少社会が到来している中で、「縮む都市」の将来像についての全体ビジョンの作成も必要である。
新築住宅を増やすことを重視してきた国の住宅政策を見直し、住宅の膨大なストックを活かし中古住宅の流通市場を育成していくこと、そしてコミュニティ重視のまちづくりを住宅政策の観点から推し進めることなどが求められる。
松本城の前の昔のお濠を埋め立てて住んでいる数十軒の家族からなる皆さまで構成されている町内会が、濠の復活により移転を求められていくことが見込まれている。その町内会の月例会に私も参加しているが、町内会の皆さまの願いは、現在の温もりのあるコミュニティを維持したままの移転である。濠の復活は歴史的街並みの復活であり意義深いことだが、その一方で、現在まで維持されてきた御近所づきあいを保全することもまた、まちづくりの意義であると思われる。
行政当局が、担当部局の縦割りを超えて、それぞれの地域で育まれてきた地域資源や人々の営みを活かし、全体としての地域の魅力や生活の満足度を高める政策の実現が求められている。
欧州では、人口縮小に伴い、シュリンキングシティ(縮む都市)に合わせたまちづくりが試行されている。私は、5年ほど前に旧東ドイツ地域を訪問し、都市の縮小の手法としてStadt Umbautと呼ばれる都市再生の事例を伺う機会があった。人口減で過剰になった住宅団地を壊し、緑地を増やす手法で都市再生を進める実例を伺った。人口規模に見合ったコンパクトで居住環境のよい都市づくりを目指し人々の定住を促進することが目的であるが、なかなか思いどおりにはいかないとの話を伺った(注)。
集合住宅が多い欧州と一戸建ての持ち家が多い日本では自ずから都市再生の手法も異なってくる。しかし、大きな都市政策を視野に入れながら、様々な手法を検証し、深刻な空き家放置の現状を打開する方策が急務だと考える。特に、その持つ世界レベルの優れた自然景観に相応しい人間の営みの質の向上を目指す責務が安曇野にはある。
(注)旧東ドイツのシュリンキングシティ政策のレポートのリンクは以下を参照
http://tokyo-nagano.txt-nifty.com/smutai/2007/11/post_0ca4.html
自由民主党長野県第2選挙区支部長
務台 俊介
[活動報告より]□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
4月9日 池田町で、村長兼町医者をしていた曽祖父の肖像画と対面、墓と集落センターとなっている屋敷跡を訪ねる。
https://www.mutai-shunsuke.jp/activity/1204.html#120409
[お知らせ]□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
★加藤絋一先生が自民党ふるさと対話でおいでになります
みなさまの「ふるさと」を訪ね、直接お声をお聞きする「ふるさと対話集会」。加藤絋一先生においでいただくこととなりました。みなさま是非ご参加ください。
日時・場所
平成24年4月22日
13:30〜15:00 村の駅 アルプスの郷 松本市安曇大野田209−1
16:30〜18:00 松本市入山辺公民館 松本市入山辺桐原1509-1
新刊本発売中!
『続・地域再生のヒント〜東日本大震災の教訓を活かす』
東日本大震災の教訓を踏まえ、今後の国土構造のありかた地域を元気にするための取り組みなど、さまざまな「ヒント」となる提言をまとめたものです。
衆議院議員河野太郎先生にも講演内容を特別寄稿いただいています。皆様ぜひお買い求めくださいませ。
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USTREAM
で毎週日曜日夕方を基本にインターネット中継によるテレビ番組を放送しております。
災害の現場に行かれた救急救命士、ボランティア活動のリーダー、商店街の若手経営者、市長経験者や、若手就農者、へのチャリティーイベントを企画した女子高校生など様々な方をゲストにお迎えし務台俊介と対談する模様を放映しています。是非一度、ご覧ください。
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