むたい俊介メールマガジン第117号 2011.06.17
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「滞在型有機農業体験「WWOOF」」
〜お互いが持つものを与え、持たざるものを受ける仕組み〜
私は最近、安曇野市在住の松村暁生さんという若手農業者の方と知り合いになった。たまたま昼食で寄った安曇野市三郷の「地球宿」というところで働いていた神奈川から移り住んできた女性の方から、松村さん経営の農園で働いたことが安曇野に移転したきっかけとなったと伺ったことから、一度松村さんの農園を訪問させていただいた。
各地の酪農農家で働いた経験のある松村さんは、大規模な酪農経営が「工場」のようだと違和感を覚え、たまたま安曇野で食した有機農法のリンゴがおいしかったことをきっかけに、10年前に有機農法のリンゴ農家として「転職」を果たし、7年前からは、そこに住み込みで働く若者を受け入れる「仕組み」に参加した。
松村さんによると、WWOOFと呼ばれるこの仕組みは、お金のやりとりなしで、「食事・宿泊場所」と「力」そして「知識・経験」を交換するシステムである。WWOOF「ウーフ」とは、「World Wide Opportunities onOrganic Farms」(「世界に広がる有機農場での機会」)の頭文字であり、有機農場を核とするホストと、そこで手伝いたい・学びたいと思っている人とを繋ぐ仕組みだ。
有機農業は、無農薬、無化学肥料で作物を栽培する農業であり、農薬を使う方法よりかなり手間がかかり、また大型機械を使わない場合も多く、人手が必要となる。そこで、農家はWWOOFプログラムのホストとして登録し、食事と宿泊場所を提供する側に立つ一方、ウーファーと呼ばれるWWOOF 体験者は、「力」を提供し、ホストを助ける旅人、学習者、ホストの家族や親戚のような友達として位置付けられることとなる。
40年前に英国で発足したこの仕組みは、オーストラリア、ニュージーランドで発展し、現在では、世界20カ国以上の国にWWOOF事務局が設置されている。 日本においては、WWOOFは1994年に発足。ホストは北海道から沖縄の離島まで、およそ400軒の農家があるとのことである。
松村さんの経営する「おぐらやま農場」にはリンゴ、桃、梨の木があり、摘花の時期には多くの人手が必要となり、WWOOFに参加する若者の手助けは大いに役に立っているとのことであった。
短い人で2-3週間、長い人で2-3ヶ月のウーファーとしての滞在の間に、「人間同士の交流」が深まる。「WWOOFのプログラムに参加する人は気持ちの良い人が多く、お金は二の次と考える人ばかりで、厭な思いをすることは全くない」との経験談を伺った。
7年間に約500名の参加者を受け入れ、その中には外国人も大変多く、2010年は100名受け入れた内の8割方が外国人であったそうだ。
長野県のWWOOFホスト農家は、北海道の70軒に次いで多く、39軒の有機農業農家が登録を行っているそうだ。そして安曇野市は7軒の農家が登録しており、全国でも最も登録件数が多い自治体ではないかというのが松村さんの見立てであった。
東日本大震災の影響で外国からのウーファーが最近激減しているとのことであったが、いずれその数が回復してくることが見込まれる。松村さんは、時間が出来たら、全世界の松村さんの農園に滞在したウーファーさんを訪問したいとの夢もあるようだ。
ところで、灯台下暗しではないが、私の長男も、2010年の夏に2カ月に亘り、鹿児島県霧島市、兵庫県篠山市、静岡県富士宮市のWWOOF農家に寄宿し、有機農業体験を行っていた。息子も最近少し頼もしくなったのは、このWWOOF体験が役にたっているのかもしれない。
最近では、農業に興味を持つ若い世代が増えている。新規就農希望者も増えていると言われる。全国の自治体も、WWOOFという40年間の実績がある純粋民間によるノウハウを活用し、地域の農業再生につなげる検討も必要ではないか。
松村さんと相談し、松本市、安曇野市のWWOOF農家を集めてのシンポジウムをやってみたい気持ちになっている。
自由民主党長野県第2選挙区支部長
務台 俊介
[活動報告より]□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
6月12日 WWOOFという有機農業に若者をいざなう国際交流プログラムの実践者である安曇野市の松村暁生氏との対談
https://www.mutai-shunsuke.jp/activity/1106.html#110612
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