むたい俊介メールマガジン第99号 2011.01.20
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「『信州型事業仕分け』を見て思うこと」
自民党時代に始まった「事業仕分け」が、政権交代後の民主党政権で衆人環視の中で大々的に行われるようになり世間の注目を浴び、更にそれが全国の地方自治体にまで波及している。長野県でも新知事の思い入れにより、「信州型事業仕分け」が行われ、交通安全啓発、地域スポーツクラブ育成支援、信州「食」の魅力向上事業、生涯学習情報提供システム事業が「不要」とされ、他事業は「要改善」とされたようである。大がかりな仕掛けにより仕分けが行われた割には、「不要」とされた事業がいかにも「かわいらしく」、喩えればスズメを打つのに大砲を使ったかのような感無きにしもあらず、である。
元々、知事選の際の新知事の公約にあったために、新知事がその実現に拘った結果の仕分けであった。仕分けに関して県民の関心を呼び起こしたという意味では効果がないとは言えないと思われるが、国で行われた仕訳で長野県に皆さんも仕分けに関する理解度が深まった中で、長野県で改めて「仕分け」を実際に見ることの優先度がどのくらい高いものであるかについては、正直よく分からない。
不要とされた事業を見るにつけ、仕分け作業の「費用対効果」がどの程度あったのかについての検証も必要であろう。組織を動員してこうした作業を行うことは多大なエネルギーを要する。仕分けの実施側もこれを受ける側も同じである。景気・雇用対策をはじめ懸案山積の県政の中にあって、敢えて人的・金銭的手間をかけてこれを今行う実質的意味があるどこにあったのか、説明が必要であるように思われる。
そして、仕分け人の多くが、神奈川県関係者、中央省庁関係者、という中で、どこが「信州型」事業仕分けなのかも私にはよく分からない。
私であれば、信州型と銘打つ以上は、気骨ある信州人から見た与党のマニフェストを仕分け、評価するといった高度なレベルの仕分けを望みたいくらいだ。多くの国民が望んでいるのも、ちょこちょことした仕分けが容易な内容ではなく、誰も手をつけないような重い課題の仕分けではないか。
その昔、長野県内を走る大糸線には、山手線で使い古された電車がお下がりで走っていた。現在大糸線を走る電車がどうかわからないが、事業仕分けの手法も、東京の二番煎じの手法が長野県で使われるのでは、「進取」の気性に富んだ「信州」には似つかわしくない。
その意味で多くの有識者が指摘し、私も指摘し、かつ与党が避けている仕分けの対象とは、マニフェストの仕分けである。こども手当、高速道料金の無料化、農家個別所得補償、最低保障年金などの一種のバラマキ施策が投入する財政資源との絡みで真に意味のある施策かどうか、長野県にとってどのような影響があるのか、といった観点から、全国初で事業仕分けの手法を用い国に物を申すくらいのことをしてほしい。
事業仕分けとは、英国で言うバリュー・フォー・マネー(VFM)の観点から、真に公的資金を投入する意味のある施策かどうか、が問われなくてはならない。大きな仕掛けであればある程、その仕掛けに見合う中身が備わらなくてはならない。大砲を用意するのであれば、その的もまた大きなものでなくてはならない。
更に、私が信州型事業仕分けを見て興味深かったのは、県議会議員が仕分け作業を心配そうな眼差しで見入っていたことである。県の施策は本来県議会でその妥当性が審議され決定される。チェックは県議会で適切に行われているはずなのである。それが仕分けにより不要と判定されるとしたら、それは県議会のチェック機能それ自体が問われることにもなる。しかも信州型事業仕分けは県民から直接選ばれていない人たちにより行われている。今回の仕分け関係者には、選挙で新知事を応援した政党色の濃い人も含まれていた。
これらの点について、県議会の機能と事業仕分けの関係と位置づけについて、民主主義の仕組みとの関係にまで踏み込んだ説明も必要であると思われる。
自由民主党長野県第2選挙区支部長
務台 俊介
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