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衆議院議員 むたい俊介オフィシャルサイト 長野2区 自民党
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むたい俊介メールマガジン第84号 2010.10.06

地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える

〜むたい俊介メールマガジン〜

「「モビリティ・マネージメント」の思想」


 3年ほど前に青森県の地域づくりの熱血漢、三上亨さんを訪ねたことがあった。当時、三上さんは「市民風車」で町を活性化する取り組みを行っている青森市・グリーンエネルギー青森の常務理事であった。青森県鰺ヶ沢町で市民の出資による発電用の白い風車を1基運用していた。


 年間4〜5,000万円の電力会社への売電により風力発電機を運用。設置費用は約3億8,000万円。半額は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から助成を受け、残りは小口の出資を全国から募って賄うこととし、全国から1億7,820万円を集め、2003年2月に風力発電機は起動した。


 三上さんは、「あおもりコミュニティビジネスサポートセンター」の所長として、風車の運用以外にも地域活性化に関するマッチングファンド助成事業、農業の活性化プロジェクト、コミュニティビジネスの立ち上げの調査研究なども行ってきた。


 その三上さんが取り組んだ「津軽鉄道を軸とした都市再生調査」のお話を伺った。その中で、約80年の歴史を刻んだ津軽鉄道を文化遺産としてとらえ、営業面の黒字赤字にだけとらわれるべきではないとの思想に頷いた。


 三上さんからは、観光事業には「発地型観光」と「着地型観光」があり、「発地型観光」だとどうしても既に有名な観光地巡りを組み合わせ定番の観光ルートを造ってそれで終わりであるが、「着地型観光」だと地元の事業者にルート選考が委ねられ、地元の事情通の智恵を寄せ集め、掘り出し物巡りのツアーを組むことが出来る、との面白い話を伺えた。津軽鉄道振興では、この「着地型観光」で行こう、ということだ。津軽鉄道の沿線は、奥津軽の文化や雄大な大自然、それに「立佞武多」や「虫おくりと火祭り」など、イベント・観光資源などが豊富に存在し、それを掘り起こし、駅毎に、2-3時間の時間を十分に使って見る価値のある資源開発を行っている。


 ところで、津軽鉄道振興の報告書の副題は「地域コミュニティとの協働による地域活性化」である。その報告書の中に、モビリティ・マネージメントという考え方が示されている。モビリティ・マネージメントとは、個人の行動が、社会にも個人にも望ましい方向へ、自発的に変化することを期待するもので、例えば、過度に自動車に依存するライフスタイルから、電車やバスなどの公共交通や、自転車などの積極的な利用を促すなど、個人とのコミュニケションを中心に働きかける交通政策である。


 津軽鉄道の周辺住民自身が、通常、自分たちの短期的利便性を優先し鉄道を使わない。しかしその結果実際に津軽鉄道という移動手段が無くなった場合の社会コストを想像してもらうことを促している。要は、地域の人々に私(わたくし)の心を公(おおやけ)の心に少し比重を移してもらうということである。ほんのちょっぴりっと便利さを我慢すれば地域全体の安全・安心が保たれる。この考えは経済学で言う「合成の誤謬」とも言い換えられる。


 モビリティ・マネージメントの思想は、社会のあらゆる局面で妥当する考えだ。中心商店街の衰退も住民自身による安く・便利な郊外店の利用が招いた結果だ。中心商店街の住民自身がスーパーでものを買うのは商店街は寂れる。


 無制限な消費者の欲望にそのまま答えていたら社会の機能はおかしくなる。24時間営業のコンビニなどは、本当に適切なサービス提供と言えるのか。そのために駆り出される労働力はその家族にどの様な影響を与えるのか。便利さの影に潜む深刻な問題にも目を向けるべきではないか。


 ところで、三上さんが何故このような活動に情熱を傾けるようになったのかその理由を尋ねてみた。以前労働金庫に務めていた頃、40周年事業で地域を元気にする取り組みに対する1億円助成事業を担当し、小口の支援を行うことで相手方が元気になったのが目にはっきりと見えたのだそうだ。20万円程度の補助金もさることながら、自分たちのやってきた取り組み内容が「認められた」との思いが大変な励ましになったのを実感したのだそうだ。


 三上さんは、原発反対運動をしていた時期もあったのだそうだが、反対運動だけでは空しさを感じ何か自分で前向きな地域貢献で出来ることがないかと考えていた中でこの記念事業の経験があった。40歳になって労働金庫を休職し、2年間地元の大学院に通い、修士号を取得、その最後の一時期、米国に遊学、その後退職し、独立して市民風車事業などに取り組んでいったのだそうだ。堺屋太一の「エキスペリエンツ」の主人公を彷彿とさせる。この小説の主人公も資金調達やプロジェクト調査のノウハウがある元銀行員であった。


 「モビリティ・マネージメント」の思想を各地の地域づくりに核に据えていくことが必要な時代である。それを適切に進められるか否かは「人材」が鍵である。独自のスキルを武器にミッションとパッションがある三上さんのような方が各地に出現してほしいと思う。


自由民主党長野県第2選挙区支部長
務台 俊介


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