むたい俊介メールマガジン第77号 2010.08.25
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「緑化による地域再生の手法」
お盆休み明け、松本市緑化協会の皆さまに、緑化運動を通じて如何に地域社会を元気にするか、という観点の講演を行った。緑化運動や園芸運動が盛んな英国に在住した経験を踏まえ、小一時間の勉強会である。
松本平の特性として、緑、清水、屋敷林、生垣、優れた景観という日本のどこにもない優れた地域資源がある。そして、その価値を更に高める努力が緑化である。
政府では国際公約として25%もの二酸化炭素削減目標が掲げているが、それをどの様に実現していくかについて、処方箋が示されていない。その中で、目標達成のために最も地道で確実な手法は「緑化」である。
私が暮らした英国では、至るところにヘッジ・ロー(生垣の列)が目につき、各地域で生垣保存のための涙ぐましい努力が傾注されている。生垣保存・整備のための全国協会(注)までが作られている。
学校の校庭もその殆どが芝生化され、その芝生の上で若者が気持ちよさそうにサッカー、クリケット、ラグビー、テニスを楽しんでいる。
緑が目に優しい風景は、日本人を英国に誘う。生垣をはじめとした緑豊かな郊外に英国人は週末毎にハイキングに出かける。パブリック・フットパスと呼ばれるハイキングコースが、全国に網の目のように張り巡らされている。歴史を経て先祖から継承してきた人工的緑を、世代を超えて歩いて楽しむ仕組みが出来上がっている。
我が国でも青森県の旧尾上町のように生垣条例をつくり、町の中の生垣を保存しようと努力している自治体もある。我が母校の松本深志高校のように同窓会が中心となり校庭の芝生化を進める動きもある。しかしいまのところそれらの動きは「断片的」である。
この際、地球規模の温暖化をくい止める為、地域社会でできる最も確実で地道な温暖化防止手法である「緑化」を、地域の総意で進めることも地域活性化の観点から考えていく必要がある。
政府においても、「緑の分権改革」と銘打って、地域資源としてのクリーン・エネルギーの賦存量を調査し、その利用可能性を探り、実証実験を経て普及するという、地域循環型の地域活性化プランを推進している。その場合、「緑化」というキーワードによる地域資源の発掘もその一環として十分位置づけられうる。
「地球温暖化防止地域計画」といった計画を自治体が率先して作り上げ、その中で、緑化を体系的に進め、歴史的景観を保全しそれを自信を持って後世に継承できる内容を充填していくことが望まれる。
生垣条例、景観条例、校庭芝生化条例など様々な制度的取り組みが想定できる。また、生垣整備や校庭芝生化により吸収される二酸化炭素量を推計し、その価値を将来導入が見込まれる国内排出権取引の枠組みの中で資金化することも想定される。当面、生垣を保全・整備する各家庭には、固定資産税の減免措置を講じることも十分ありうる。グリーン減税である。
松本市民の中には、古民家復活による固定資産の資産価値上昇を理由に固定資産の再評価を行い、固定資産税を上げるべきだとの主張がある。評価替えを行わない市当局に対し訴訟を起こした。同様に考えると、生垣整備によりその民家の価値が増した場合は固定資産税の評価を上げるという主張にも繋がりかねない。
しかしこれは目先の公平感に偏った狭視眼的な考え方のように思われる。景観を重視し、自己資金をかけてまで昔の民家の姿を復活しようとする善意の気持ちを抑止する考え方である。むしろ、古民家復活、生垣整備に関してはそれにかかった費用の一定割合を固定資産税から控除するくらいの対応があって然るべきである。
それが、景観重視、歴史的建造物重視、環境重視の考え方にも繋がる。グリーン・ニューディールを本格的に推し進めるには、全ての制度を動員する意識改革が求められる。
自由民主党長野県第2選挙区支部長
務台 俊介
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