むたい俊介メールマガジン第63号 2010.04.28
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「政府主導による環境投資を最優先課題に」
〜歯がゆい政府のグリーンニューディール政策の動き〜
グリーンエネルギー投資により経済のパラダイムを変えていくことが今後の成長戦略の核になるであろうことは多くの専門家の共通認識になりつつある。その全世界的な取り組みをNHK取材班が総力を挙げて取材した内容が本としてまとめられている。「環境で不況を吹き飛ばせるか〜グリーンニューディールの挑戦〜」(NHK出版)という本である。
米国では、カリフォルニア、テキサス、ペンシルバニアといった州が、ブッシュ政権時代から「グリーンニューディール」政策を明確に打ち出し、その政策により需要と雇用の創出を図っている事実が取り上げられている。日照時間の長いカリフォルニアでは太陽光、風の強いテキサスでは風力と、それぞれの地域に適した自然エネルギーに力を注いでいる実態が報告されている。
産業政策が地方自治体に委ねられていない日本とは異なり、州政府の権限で独自の環境エネルギ―政策の取り組みが進み、それがブッシュ政権の誕生で連邦レベルの政策に取り上げられている動きに、何事も中央政府でないと決められない日本から見ると眩い思いがする。
発電量が天候に左右されやすいという自然エネルギーの弱点を克服する技術がスマートグリッドであり、その技術を使い、一挙に環境に優しい小規模・分散型の自然エネルギーの普及が進む気配を感じる。その中で、日本はそのグリーンニューディールを支える要素技術の宝庫であると言われている。先頃、英国の総選挙を前に各政党のマニフェストが公表されたが、保守党のマニュフェストには、環境政策の分野で日本が手本として取り上げられている。
そのマニフェストには、「日本はグリーン技術開発において世界のリーダーであり、日本企業はアメリカにおけるグリーン技術の特許のおよそ30%を保有している。」と書かれている。日本人としては誠に誇らしい気持ちにさせられるが、一方で、我が国が国を挙げて本当にこの環境面の要素技術を国際交渉などの場で十二分に活用し、日本発の自然エネルギーシステムをどしどし国内外に押し出し、経済成長戦略の牽引車としてフル回転させているかと問えば、残念ながらそうではないと言わざるを得ない。
日本は単体の技術力は強いが、それをつなぎ合わせて全体として厚みのあるシステムとするプロデュース力に欠ける、とつとに言われてきている。どうも、日本には、全体構想力に欠けるところが無きにしも非ずである。官庁の縦割りの弊害、といえばそれまでであるが、民間企業とて同じ陥穽に陥っているのではないか。
そこにこそ政治の出番がある。官庁間の縦割りを排除し、国家戦略として自然エネルギー革命を推し進める政治主導が、いまこそ求められている。
しかし、その政治主導が現在、その理念とは全く逆に、国家の迷走、停滞の原因となってしまっている。米戦略国際問題研究所上級顧問・日本部長のマイケル・グリーン氏は普天間基地を巡る政治の迷走劇を取り上げ、普天間問題が、「日米関係の酸素を吸い尽くしている」と語っているが、普天間基地問題をはじめ、子ども手当、高速道路無料化などを含め、自ら撒いた種のために本来政治が最も力を入れなければならないグリーンニューディールを中核としたグリーンエネルギー革命による日本経済の再生という最重要事項に手がつけられない事態を招いている。名前がまさにグリーン氏に「酸素欠乏」と言われたことが、グリーンエネルギーへの取り組みに手間取っている我が国の現状の深刻さを皮肉にも物語っている。
政府は本来国が抱えている課題の処方箋をテキパキと作っていくことにその役割がある。政府自らが問題の発生源となっているのでは日本人として恥ずかしい。ばら撒きではなく、まとまった環境投資によりこの国の経済、そして世界経済を再生させるために、政府の中枢に酸素を吸入し再生しなければならない。
自由民主党長野県第2選挙区支部長
務台 俊介
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