むたい俊介メールマガジン第44号 2009.11.20
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「地方都市中心市街地での老若の同居の勧め」
私ごとになるが、大学進学により安曇野から東京に出て行った若い頃、勉学経費節減の趣旨もあり東京都練馬区桜台の祖父の妹の家に3年間下宿したことがある。当時その練馬家の一軒家は老人の独居世帯で、親戚の大学生の居候は用心棒代わりにもなるということで歓迎してもらった。今は他界したおばあさんとの生活は、今となっては大変懐かしい思い出である。途中、おばあさんが娘のいる米国に滞在した際には私が一人で留守を守った。会社が倒産しかけた親戚の一家が隠れ家を求めて避難してくるという経験まであった。
そのために、私は「親戚の目」もあり、多感な学生時代に同世代の女性との接点が狭まり、人生における貴重な機会を失したのではないかとの「大きな反省」もあるが、一方で、親戚の家に下宿しなければ得られなかった特異な情報を得ることも可能となった。おばあさんの昔の経験、師範学校の女生徒の教師との恋愛、松本平の親戚筋の隆盛と没落、親戚の広がりや消息などを繰り返し繰り返し伺うことができた。
これが、私が経験してきた老人と若者の同居の経験である。
ところで、地域を歩く中で、都市の空洞化の現実に唖然とすることが頻繁である。松本城を囲む鷹匠地区を巡った際に、松本城周辺の広い木造の一軒家が空き家になっていたり老人の独居状態の現状を目の当たりにした。一方で、信州大学や松本大学に通う県外や松本地域以外からの学生は、郊外の近隣との接点が遮断される狭いアパートに住んでいる。私はこの現状を見る時に、若者を廉価で中心市街地に住まわせる工夫が十分あるように思えてきた。
最近、米国や欧州で老人と若者の同居がブームとなっているとの報道がある。2009年3月14日NHK衛星第一で放送された「欧州ライフ」では、現在パリで行われている「高齢者と若者の同居」のニュースが流れた。パリでは一人で暮らす老人が増加し様々な問題が生じている。「パリ・ソリデール」という団体が、2003年の猛暑により多くのお年寄りが亡くなったことがきっかけでこの活動を始めたそうだ。それによると、18歳以上30歳以下の若者を50歳以上の老人の家に住まわせ、お互いの条件を決めて共同生活させるというもの。他人同士でプライバシーを守っての共同生活である。
老人にとっては、若者と普段一緒に生活することでいざという時の支援を期待できる、日常の話し合いの相手ができる、買い物など生活支援を若者に頼むことができる、老人の生き甲斐にも繋がるといったメリットがある。若者にとっては、廉価でゆったりとした都心部の居住環境が確保できる、世代を超えた経験の交流が可能となるといったメリットがある。そしてその地域にとっては、若者が地域に戻ってくることで都心の活力が生まれる、といったメリットがある。
同居することで生じる様々なトラブルを解決する手法を工夫することにより、このシステムは大いに機能することになりうるように思われる。そして地方都市の市街地に潜在する住宅資産の蓄積を若者に上手に提供していくことで、市街地活性化、独居老人の生き甲斐対策にも大いに資することにも繋がるように思われる。
我が国にもこうした仲介システムを早期に立ち上げるべきであると考える。
務台俊介
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