むたい俊介メールマガジン第11号 2009.01.29
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「ブリコラージュの思想」
〜完璧ではなくセカンドベストで良しとする考え〜
数年前になるが、東京銀座で開かれた、「新しい世紀の災害論」というフォーラムで、作家の池澤夏樹さんから面白い話を聞かせて頂いたことがある。その内容に思わず納得させられた思いがした。
池澤氏によると、
・日本人には災害に関して「天譴論」(テンケンロン)とも言うべき概念がある。
・大正の関東地震の際にも「天譴論争」があり、人間の咎を天が罰したという説が論壇を賑わせた。
・これに対して、菊池寛は「地震でなくなったのはブルジョアよりもプロレタリアートが多いので、天譴論はおかしい」、芥川龍之介も、「天譴論が正しいのであれば、渋沢栄一などは先ず先に死ななければならない」などと述べていた。
・「天に代わりて不義を打つ」という戦争時の歌があるが、これも天譴論の一種か。ブッシュ政権はこれに似ている。しかし、勝手に天に代わられては困る。
・防災論は常に「金をかけて空振りでもよしとするか」あるいは「準備しないで大きな被害に遭うか」のせめぎ合いだ。
・今の社会は社会的分業体制が進み、徹底的に人間を甘やかし、自然に働きかけて加工し自らものを作り出せる人間が減り、いざというときの判断力が低下している。自然とのつきあい方も知らないで大きくなっている。その意味では非常に脆弱だ。
・阪神大震災の時も、行政に文句をつけるだけで何もしようとしない被災者の何と多かったことか。
・災害対応で重要なのは、「ブリコラージュ」という考え方。その場にあるもので間に合わせる、という考え方。料理に通じる考え方でもある。
・(この当時は)沖縄に住んでいるが、集落で全体清掃の時間がある。ここでは誰が命令するでもなく、何となく皆でカバーしあい、それなりに清掃が終わっていく。特定の人が働きすぎるのはよくないとされる。皆が適当にさぼりながらやるのが歓迎される。働きすぎる人は他の人もさぼらせない雰囲気を作り敬遠される。
とのことであった。何事も肩の力を抜いてやることが長続きする、セカンドベストで出来ることからやるのがよい、という趣旨のお話しだと受け止めた。
翻って、防災に限らず、何でも釈迦力にやると確かに長続きしないものである。昨今の雇用不安の中で、ワークシェアリングという言葉が脚光を浴びているが、特定の人が頑張りすぎるのではなく、皆でカバーし合いながら助け合っていく社会という概念の持つ意味を再確認していくことが必要な時代になっているのかもしれない。
また、定額給付金について世論の批判は大きいが、世界的な経済危機の中で今は財政金融施策を総動員すべき時期である。個別施策の粗捜しをするのではなく、その施策の前向きの要素を最大限評価し、何とか今の経済危機を乗り切る機運を醸成することこそが必要な時期だと思う。
ブリコラージュという言葉の持つ意味を今日的にしっかりとインプットすることが必要に思われる。
自民党長野県第2選挙区支部長 務台俊介
*注 長野県第2選挙区の区域は松本市、安曇野市、大町市、長野市の一部(旧大岡村、豊野町、戸隠村、鬼無里村)、東筑摩郡(朝日村、生坂村、麻績村、波田町、山形村、筑北村)、北安曇郡(池田町、小谷村、白馬村、松川村)、上水内郡(飯綱町、小川村、信濃町、信州新町、中条村)です。区域の地図はこちらのリンクでご覧いただけます。
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○2009年1月末に「日本再生のキーワード〜欧州に見る地域の力」(イマジン出版社)という本を出版いたします。昨年、自治体国際化協会事務所長として過ごしたロンドンでの経験を、ヨーロッパと日本の地方自治の比較の視点からまとめたエッセイ集です。日本の地域社会再生のヒントが沢山詰まったものになったと思っています。皆さん、ぜひお手にとってご覧ください。
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