むたい俊介メールマガジン第10号 2009.01.22
地域の声を国政につなげ
地域の声で国政を変える
〜むたい俊介メールマガジン〜
「利潤動機」と「価値創造動機」
私は公務員を28年経験し、2008年8月に自己都合退職し、政治の道を志した。私が自治省に入省した昭和55年当時と現在の公務員制度を巡る環境は、民間企業や研究者と同じように大きく変化している。しかし、公務員制度の在り方は、それが国政の一大課題とされるほどの問題となっている。
官僚制度がこの国を縛っている、との批判がなされている。しかし果たしてそうなのだろうか。私は、「官僚制度」と「官僚主義」が混同されているように思える。官僚主義は、民間企業であっても組織が大きくなるとともに生じうるものだ。情報の行き来が縦割りになり、情報共有がなされない。そのために自らの部門の狭い視野の利益だけを考え、時代の流れに沿った意思決定ができなくなる。これらの弊害はどんな組織にとってもありうることだ。
しかし、これはあくまでも「官僚主義」の弊害であるように思われる。一方で、「官僚制度」自体は、国家の存立にとって必要不可欠である。さしたる資源も、土地もない国の日本が、国際社会の中で先進国としての地位を保とうとするなら、人材をうまく活用しなくてはならない。国家の運営においても官僚制度が優れた機能を発揮することがどうしても必要である。公務員制度も時代の要請に柔軟でなければならないということは当然なことだが、その機能が脆弱でよいということは決してない。
政治の世界は、「一寸先は闇」だと言われる。民意に敏感に反応せざるを得ない政治は、時に以前の意思決定と正反対の決断をあえて行うことがある。しかしそのことは選挙民の意思ということで正当化されうる。しかしながら、その意思を受けて行政を担う官僚組織は、民主主義のルールにのっとりつつ、憲法と法令の下で、筋の通った仕事をしていかなければならない。さもないと国家としての矜持が問われることになる。
民間企業の活動は、私たちが生きていく上で重要な経済活動だ。しかし、資本の論理が生み出すのは必ずしも好ましいことばかりではない。個々の企業の利潤追求が正しくとも、全体としてみると不合理になってしまうことは往々にしてある。合成の誤謬といわれている現象だ。現在の経済状況を例にとってみる。企業は正規社員を少なくし非正規雇用を大量に生み出してきた。この判断は個々の企業行動としてはやむを得ないものがあるのだとしても、日本経済全体として見たときには、国民の購買力を失わせ、国内の需要を減少させることにつながる。そのため、企業は輸出することで稼ごうとするが、そうすればそうするほど貿易黒字となり、為替レートは円高に振れ、稼いだはずのドルが目減りしてしまう。そうなるとますます国内で作った価値の高いものをもっと安い値段で,輸出しなければならず、賃金の切り下げや雇用の非正規化を行い、労働分配率を下げる。それがまた国内需用を減少させる、という行き場のないスパイラルに陥いってしまう。しかも勤労者の所得の減少や雇用の不安定化は、社会の不安にも繋がることもある。
このような局面で、政府の役割が必要となってくる。国内の消費の需要を高めるために労働分配率、勤労者所得を引き上げて、現在の外需に依存した産業構造を転換し、内需主導型の安定した経済構造に移行すること。これが社会・産業政策として求められる。
それから労働分配率の引き上げと同時に必要なのは、ユニバーサルサービスの充実だ。育児、養老、住宅、教育、公共交通、環境整備といった皆が利用することができるサービスの充実が求められている。
実はこのことが内需拡大のバックボーン、受け皿となるのだ。そしてそれを提供するのが、まさに地方自治体である。そのためには地方自治体の税源、財源を充実強化していくこと、そしてさらに地方に分権をしていくことが今求められている。この地方自治体への権限移譲は社会のセイフティネットであるユニバーサルサービス充実のため、そしてひいては内需型産業構造への転換のためでもあるのだ。これは大きな価値観の変革を伴うものである。
私は、現役公務員時代に学生に対し行政官として国を担うことを勧める時には、以上のような発想から、「利潤動機」ではなく「価値創造動機」により、今後の国の明日の有り様を考えていく仕事をになっていくことの魅力を伝えてきた。どちらかというと現在は、利潤動機がもてはやされるような時勢のようにも見受けられるが、私たちが利潤動機だけで動くものではないことは、世の中を広く見渡せば直ぐに分かることだ。
地域社会、そして人々の暮らしに深いシンパシーを持ち、地域に根付いた歴史や文化をこよなく愛する感受性のある学生にこそ、公務員、特に、地方を大事にする役所である総務省の門を叩いて欲しいと申し上げてきた。私自身は、その総務省を去った。しかし少し異なる世界ではあるが、今でもまったく変わらず地方への熱い想いと「価値創造動機」を胸に政治の道を歩んでいる。
自民党長野県第2選挙区支部長 務台俊介
*注 長野県第2選挙区の区域は松本市、安曇野市、大町市、長野市の一部(旧大岡村、豊野町、戸隠村、鬼無里村)、東筑摩郡(朝日村、生坂村、麻績村、波田町、山形村、筑北村)、北安曇郡(池田町、小谷村、白馬村、松川村)、上水内郡(飯綱町、小川村、信濃町、信州新町、中条村)です。区域の地図はこちらのリンクでご覧いただけます。
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