自由民主党

衆議院議員 むたい俊介オフィシャルサイト 長野2区 自民党
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理念・政策・メッセージ

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2011.10.24

「テレワークの推進により災害にも強い国づくりを」


 普段から地域社会を巡っていて、この自然環境豊かな地域に若者が少ないことが本当に残念で仕方がない思いを抱くことが多い。


 これだけICT技術が進歩してきているのだから、何も皆が都会の事業所に詰めずに在宅勤務が普通に可能になる社会的仕組みが作れないかと素朴な疑問を抱いてきた。SKYPEを使えば無料での遠隔テレビ会議もできる。メールでの意思疎通や資料のやり取りもやろうと思えば十二分に可能なはずである。実は、私も現在、ICTを活用しながら実質的にテレワークの勤務形態を実践している。


 大都会に若者を供出してきた地方の農山村から見ると、テレワーク(telework)が一般化すると出身者が故郷に戻ってくれたり、都会の喧騒を逃れ農山村に居住してくれる若者が増えるとの期待もある。


 テレワークの一般化により、「農村には職場がないから大都会に出ていく」という日本の過疎・過密の歪な原因が除去されうる。


 テレワークの仕組みのメリットは多方面に及ぶ。農山村に若者を呼び戻すことに加え、大都市の過密・渋滞の緩和につながり、在宅時間が増えることによる子育て・介護時間の増加をもたらし、少子・高齢化の対応策ともなる。経営者にとっては巨大オフィス整備の投資を抑えることにつながり通勤経費も節減できる。勤労者にとっても遠距離通勤の膨大なストレスと無駄から解放される。大都市で蔓延しがちな伝染病の広がりも抑えることが出来る。


 メリットだらけにも拘わらず、どうも日本ではテレワークが急速に進んでいるとは言えないのは何故なのか。


 どうも、日本人は、本社で皆で顔を見ながら仕事をしないと不安心理に駆られるような意識構造にあるのではないかと想像する。集団に属していないと阻害される様な気分になる。私自身が官庁組織という大組織に属していた時期に、まさにそういった心境にあった。


 勿論、テレワークにはデメリットもある。テレワーク勤務者はいわゆるバックヤード(庶務機能)縮小による事務作業の増加、他の社員との関わりの希薄化によるロールモデルの消失、勤め先への忠誠心の低下などが懸念されよう。


 しかし、ここにきて改めてテレワーク普及の意味が大きくなっているのではないか。それは、災害との関連でテレワークを再評価するということである。


 神奈川大学佐藤孝治教授は、テレワーク研究に長年携わっておられる。その佐藤教授は米国連邦政府の事業継続(OOP=Continuity of Operation)の制度は、我が国でも政府組織のBCPを考える上で参考にすべきだという問題提起をされておられる。


 佐藤教授によると、米国でテレワークが政府組織に広く普及したきっかけは、1994年1月のノースリッジ地震と2001年9月の同時多発テロだったとのこと。現在では米国連邦政府職員のうち約15万人が何らかの形態でテレワークを実施しており、特に大がかりに取り組んでいるのは、国防総省、司法省、財務省という職務上のセキュリティが高い職域なのだそうだ。


 テレワークは、ワークライフバランスとの関連で必要性があるのみならず、防災や危機管理の面からも必要だという見方である。東日本大震災時の帰宅困難者の大量発生という実態を見るにつけても、テレワークも活用しながらリスク分散の現実的な対応を進める必要があるという所論である。


 この佐藤教授の意見に、私もまったく同感である。災害に強い国土づくりは日本全国の各地域の活性化にもつながる。本来であれば大都会にある事業所が広く全国に分散することが望ましいが、実質的に同じことが、勤労者の勤務形態をテレワークにより各地に分散することによっても実現可能なのである。


 東日本大震災後の日本の国の形の新たな形勢にテレワークを活用することについて、政府の本腰を入れた検討が必要である。


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