自由民主党

衆議院議員 むたい俊介オフィシャルサイト 長野2区 自民党
http://www.mutai-shunsuke.jp/

  • トップページ|Top page
  • プロフィール|Profile and career
  • 理念・政策|My policy
  • 講演・著作・論文|Lecture,writing,thesis
  • 活動報告|Activity report
  • 選挙区の状況|Constituency
  • 後援会のご案内|Supporter's association
  • リンク|Link
  • ご意見・お問い合わせ|Tell me your opinion

理念・政策・メッセージ

[印刷用ページはこちら]

2011.08.13

「原爆投下後の軍部対応と福島原発事故後の政府対応の奇妙な類似性」

〜国民の犠牲を最小限に抑えるという発想の欠落〜


 広島・長崎に原爆が投下されてから66年が経過した。私も広島県庁に一時勤務した経験があることから、原爆投下に対する地元の思いは私なりに共有しているつもりである。原爆の日の前後に当時を検証する番組特集が組まれており、その中にはなかなか見ごたえのあるものがある。


 たまたま広島原爆投下の6日の夜に見たNHKドキュメンタリーの内容が印象的であった。広島原爆投下の直後、軍中枢で戦争継続の可否を議論する会議の中での議論の焦点は、1、無条件降伏となった場合に天皇制の継続が維持できるのか、2、軍部の戦争責任が問われるのではないか、の二点であったとの内容であった。不思議なことに、国民の犠牲をこれ以上増やすことはできない、ということが最大の論点ではなかったのだ。


 軍中枢の懸念が以上に点に集まったために、重要な点が曖昧にされた。それは、広島の次にどこかに原爆が落とされるかどうか、という点であった。戦争遂行を主唱する軍幹部は、米国はこれ以上原子爆弾を使うことはないだろう、という甘い想定の下に、上記の2点の懸念があるために戦争継続を主張したとの解説であった。


 そして、驚くべきことに、軍部は、長崎原爆投下5時間前に、原爆を搭載しているかもしれない爆撃機がテニアンを飛び立った事実を把握していながら、その情報を活用することがなかったとの内容が含まれていた。


 そのために、長崎市民に対しては何の警報もなされることなく、無防備な市民に対して2度目の過酷な原爆投下がなされた。この事実により原爆投下側の責任がいささかも減少することはないが、この事実により軍部の責任は万死に値する。


 果たして、この終戦時の忌まわしい経験は遠い昔のことなのであろうか。私にはそうは思えない。福島第1原発の事故の際に、政府の放射線予測システム SPEEDI(スピーディ)は放射線拡散の事実を的確に記録し続けていた。しかし現政権中枢はその事実を知りながら国民に対してはそのデータを提供しなかった。その間、ドイツ気象台が日本の気象庁から提供されたデータに基づき、その時間その時間の放射線拡散予想情報をビジュアル化して世界に発信し、日本人もそれを見た人は多かった(私も随時見た)。しかし当事者である肝心の日本政府はこの情報提供を行わなかった。


 それどころか、枝野官房長官は、記者会見により「安心情報」を国の内外に発信し続けた。官房長官を敢えて擁護するとしたら、国民にパニックを避けるという気持ちはあったかもしれない。しかし、非常時に臨む政府中枢の機能とは何か、その権限と責任とは何か、それに関する基本的な立場を政府は理解していたとは到底言えない。


 大きな危機が生じた際の危機管理の鉄則がある。プロアクティブという原則である。1、疑わしい時には行動せよ、2、最悪事態を想定して行動せよ、3、空振りは許されるが見逃しは許されない、という3つの行動原則である。


 この危機管理行動原則通りに政府中枢が動いたならば、福島原発事故に起因する今日の混乱はより軽減されていたと思えて仕方がない。東北地方の被災者の皆さんに発災後的確に情報が伝わっていたら、発災当初の混乱はあり得たかもしれないが、放射線物質で汚染された地域に避難をするとか、汚染稲藁を全国に出荷して肉牛がセシウムで汚染されるという被害の今日の様な拡大はなかったであろう。


 その意味では、今回の原子力事故の被害の広がりは、従来の国の原子力政策の是非という観点とは別に、原子力事故後の政府の初動対応の拙劣さに起因すると言っても過言ではない。我々はこの点をしっかりと峻別して今後の議論をしていかなくてはならない。


 さて、話を元に戻す。敗戦時の軍部の対応と東日本大震災時の政府の対応は、デジャブ(既視感)とも言うべき不思議な符合がある。それは国民の犠牲を最小限に抑えるという観点が欠落しているのではないかということである。国のメンツ、政府の立場をよりよく見せるという立場が先に立って、結果として最も重視しなければならない国民の犠牲を最小限に抑える視点が矮小化された感なきにしもあらず、である。


 更に、発災後、5か月が経過しようとしているが、放射線物質による汚染の広がりが深刻化する中で、政府の対応は今なお後手に回っているように思えて仕方がない。除染についても政府の対応が定まらない中で、東京大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授がしびれをきたし、自らの組織を活用して汚染除去に乗り出すという事態を迎えている。本来は政府が迅速果敢に動くべき領域である。この国の政府機能はどうなってしまったのかと不安に駆られるのは私だけではあるまい。


 原爆の日が巡ってくる度に、政府の機能はたいして進歩しないどころか、更に劣化しているのではないかとさえ思えて来る。政府の危機管理対応力強化もこれからの真の意味の政治主導の課題であると強く確信している。そのためにも、東京電力福島第1原発事故の原因を検証する第三者機関「事故調査特別委員会」に相当する「政府の事故初動対応検証特別委員会」といったものも設置していくことが必要である。


←戻る

▲ページTOPへ