以前、メルマガで若者の政治参加に関する一考察を書いた(注)。その後、麻生総理と民主党鳩山代表の党首討論が久しぶりに行われた。中身は噛み合わないものではあったものの、このような討論会が定期的に開催されるとしたら、国民の政治への関心がより高まるものと歓迎したい。与党と野党を代表する政党の党首が、直接国民の前でやり取りする姿は民主主義の健全な発展にとって望ましいことだ。今後は、テーマを絞る工夫をしつつ是非とも定期的に実施して頂きたい。
党首討論と同じことを、それぞれの小選挙区においても、現職衆議員議員と新人立候補予定者の間で行うべきである。選挙までの間に、テーマ毎に、少なくとも5-6回は行われるべきである。
ところで、国会議員の世襲の在り方が問題視されている。その本質的な問題は、世襲により健全な競争の機会が奪われ、世襲システムが政治の世界への見えざる参入障壁となり、一般の人たちとの間で機会均等が妨げられるところにある。世襲により、「地盤・看板・カバン」が引き継がれることにより、マラソンで言えば、42.195キロの30キロ地点からスタートが許されるようなものである。
一方で、世襲でも、親の背中を見て育ち、その後を継ぐべくしっかりとした考え方を持ち、心構えと志を有し、しっかりと勉強しているのであればそれはそれで世襲の良い側面もないとは言えない。
問題は人物像をしっかりと検証する場があるかないかである。私は、平場の討論こそがこの問題の一つの解決策になり得ると考えている。党首討論と同じような形式で、各小選挙区ごとに、地元のテレビ局、マスコミ、或いは経済界の主催の下、複数回、テーマを絞って議論が噛み合うような形で討論会を行う。それを多くの有権者が見て、それぞれの候補者の考え方、見識、行動力、情熱、責任感がしっかり理解できるような形で情報公開することが大変重要であるように思われる。
各新聞は、その模様を分析し解説し、有権者が判断しやすい形で情報提供していくことが必要である。ある意味でこのことは民主主義の成熟化のための前提条件のように思われる。
その仕組みがないために、世襲であることがストレートに圧倒的有利な立場を世襲政治家に与えているのであり、報道関係者は世襲問題が自らの政治報道の在り方と密接にかかわる問題でもあることを理解しておく必要があると思われる。
私はこの方式の実現を、何度も地元マスコミ関係者に申し入れている。そろそろ回答を頂いてもよい時期のように思われる。
(注)
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