「クアラルンプールで消防防災協力の提案」
〜「日本の消防団モデルを活用したASEAN地域自主防災組織構築の提案」〜

 2016年1月14日、クアラルンプールEQプラザで「日本の消防団モデルを活用した ASEAN 地域自主防災組織構築の提案」について以下の通りプレゼンしました。

1. なぜ今、アセアン地域防災力なのか
 ASEAN諸国は急速な経済発展を遂げています。しかし、社会インフラ、とりわけ地域防災力の整備はそのスピードに追いついていません。災害が頻発する地域で持続的な発展を実現するためには、行政だけでなく、地域住民が主体となる防災体制が不可欠です。日本には、長い歴史の中で育まれた「消防団」という、世界でも稀有な地域防災の仕組みがあります。私は、この仕組みこそ ASEAN の地域防災力強化に貢献できる、日本の重要な社会的資源だと考えています。

2. ASEAN訪問で見えた課題と可能性
 2024年夏、衆議院環境委員会の出張でベトナム・インドネシアを訪問しました。インドネシアでは、正木大使から「火山・災害の多いインドネシアに日本の消防団モデルを導入できれば、日本のソフトパワーが大きく花開く」という提案をいただきました。また、ジャカルタの ERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)では、地域防災力強化をERIAの新たなミッションとして検討してはどうかと私から提案しました。2026年1月のマレイシア訪問の際には四方大使からは、同国のUTM(マレーシア工科大学)で開講されている防災講座(DPPC)にソフト防災の消防も参加する提案も頂きました。これらの対話を通じ、「日本の消防団モデルは ASEAN の防災力向上に貢献できる」という確信を深めました。

3. カンボジア・シェムリアップで始まった実証的取り組み
 私が代表を務める防災制度運用研究会の講演会では、早稲田大学・長谷見雄二名誉教授から、カンボジア・シェムリアップ州での日本式消防団設立の取り組みをご紹介いただきました。

● シェムリアップの現状
・人口 20 万の市、州全体で 100 万
・常備消防職員は 30 名余り
・消防車は 10 台未満
→ 3 交代制を考えると、実質 10 名で 100 万人を守る体制
 この脆弱さを補うため、高級ホテルが高給で自前の消防組織を作り、結果として公的消・防職員が引き抜かれるという悪循環も起きています。

● 日本式消防団導入のプロセス
・日本の消防機器メーカーが消防ポンプを提供
・現地で試技を実施
・州政府・市当局・消防署・地元経営者を日本に招聘
・日本の消防団の実態を視察

 当初「消防は公務員だけが行うもの」と考えていた当局も、「なぜ日本では民間人がここまで熱心に消防活動をするのか」と問い始めるほど、意識が変わっていきました。これは、日本式消防団が ASEAN でも受け入れられる可能性を示す重要な事例です。

4. 日本の消防団は世界に誇る社会制度資源
 私は 2013 年、議員立法で「消防団基本法」を制定する際に汗をかきました。団員減少という課題はありますが、消防団は「自助・共助」の精神を体現する日本社会の宝です。常備消防と非常備消防が共存する国は世界でも稀であり、これは日本の強みです。この仕組みを海外に展開することは、
・日本の防災文化の共有
・日本製消防資器材の紹介
・日本の消防団員の士気向上
にもつながります。

5. ASEAN でのモデル地区構築という提案
 カンボジアでの経験を踏まえ、私は次のステップとして「ASEAN 諸国にモデル地区をつくり、日本式消防団の仕組みを段階的に導入する」ことを提案します。

● 実施主体のイメージ
・日本の消防庁
・日本消防協会
・消防ポンプ協会
・JICA(支援)
・日本の自治体消防団(対口協力)
 日本の自治体消防団が ASEAN の自治体と一対一で協力する仕組みができれば、国際協力としての消防団活動という新たな価値も生まれ、若者の参加意欲向上にもつながります。

6. 日本の強みを世界へ、そして ASEAN と共に
 日本の優れた制度は、国内に閉じていてはもったいないという思いがあります。消防団という社会的資源を ASEAN と共有することで、地域防災力を高め、持続的な発展を支えることができます。私はこれまで総務省消防庁にも、ASEAN への消防団モデル展開の必要性を訴えてきました。今回の展示会とセミナーを通じその実現に向けた大きな一歩として参りたいと祈念しています。

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