「若い世代に登山の経験を」
〜学校登山の復活〜

 日本山岳会信濃支部と松本市の山岳フォーラムの合同山行に参加しました。東御市の篭ノ登山に登坂ツアーでした。何と、19名の大人数の山行でした。上高地の徳本峠、常念岳登山道、戸隠の高妻山、伊豆山、白樺湖周辺山行に引き続く登山でした。私にとっては、1年間の登山としてはこれまでにない回数の登山となりました。個人の登山ではなく、しっかりとした登山リーダーが存在するので、安心できる登山となっています。これまでは、仕事や公務でこうした活動に参加ができない状態が続いてきましたが、昨年の衆議院選挙の結果を経て、自分自身の時間が確保できていることは、結果的に個人の生活レベルを飛躍的に向上させているという面もあることを実感しています。

 つくづく、人間は常に緊張した状態に置かれてはあまり良いことはないと感じます。登山に参加する人には歪んだ思惑はありません。ただ、厳しくとも素晴らしい自然に身を委ねて心身の浄化を果たしたいという思いです。信州に居住し自分自身がそうした機会を得やすい環境に置かれていたのに、若い時分はそうしたチャンスをみすみす逃していたことを今更ながら反省しています。

 子供の頃からのふるさとの山に親しむ機会はとても重要だと思います。子供を大事に育てること自体は大変重要なことですが、過保護になり、自然とのふれあいから隔離された子供は、生きる力を得ることが出来ません。そのような中で長野県は学校登山の伝統がありました。子供たちに学校生活の思い出を作文にしてもらうと、学校登山の思い出を記す生徒が多かったのだそうです。

 学校の先生方に負担をかけずに、学校登山を実施できる工夫は存在します。長野県には山岳ガイドの団体、会員が沢山います。そうした団体と協力し、子どもたちの生きる力を培うことが大変重要です。私の住む安曇野市、松本市でも学校登山を終了する学校が相次いでいます。安全確保に関する保護者の懸念、教師の負担、働き方改革の風潮などが背景にあります。

 しかし、子供たちの将来を考えた場合、学校登山のような、子ども達に一定の試練を与え、それを克服できた場合の達成感を実現するのに学校登山は最適です。こうした伝統行事を復活させるために、国や自治体は、それを公の責務として復活させる努力が求められています。

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