「山岳リゾートの未来に向けて」
〜2024-5年のウィンターシーズン開幕に当たり〜

 12年間代議士を務めさせて頂いてきました務台俊介です。与党国会議員の中で数少ない中部山岳リゾートという稀な自然資源を選挙区に抱える者として山岳リゾート振興には努力を傾注してきたつもりです。長野県索道事業者協議会の顧問にも就任させて頂き、事業者の皆様の問題意識を共有させて頂いてきたことに心から感謝申し上げます。

 スノースポーツ&リゾーツ議員連盟の事務局も担当させて頂いてきました。新たに導入された国際観光旅客税の使途に、索道設備の改修も加えるなど、議員連盟としても一定の役割を果たしてきたつもりです。索道事業に係る軽油引取税の免税措置の継続に当たっても、自民党税調で発言をさせて頂いてきました。

 今回の選挙で敗れはしましたが、第一級の山岳リゾートを抱える選挙区が無くなるわけではありませんので、引き続きしっかりと課題の共有、あるべき姿を皆様と共に考えてまいりたいと思います。

 私が思い描いている山岳リゾート振興の姿は、民間事業者の皆様が、創意工夫を行い事業展開がしやすい環境を整えることです。政治の役割は、それを強力に実現していくことです。

 言わずもがなですが、長野県の山岳リゾートを目指し国の内外から多くの観光客、登山客、スキー客が長野県に押し寄せています、10年前に議員立法で成立させた国民の祝日「山の日」制定が一つのきっかけになったようにも感じています。

 問題は、索道事業をはじめとして、現状の設備水準が、内外から訪れた皆様から評価されているかどうかです。実は、私が事務局長を務めてきた山の日議員連盟でも登山道や山小屋の設備についても課題が山積している点を問題にして参りました。

 私は、山の日制定後10年を経て新たな議員立法の一つとして、登山環境整備基本法案を準備していましたが、今回の選挙の結果、少し時間を要する事態となってしまっています。しかし、いずれそうした法案も成立させる機会を得たいと考えています。

 スノースポーツに関しても同じ考え方が当てはまると思っています。スノースポーツや索道事業に関し、我が国が世界に誇る第一級の国際的スノーリゾートを実現するという国家的観点からあるべき整備水準を定め、必要事業量を算出し、それに対する公的支援の枠組みを作る。それをスノースポーツ振興整備基本法案という形で国会の意思として政府や自治体の責務として位置付ける。政府が基本計画を作り、閣議決定で計画的に進めるといった体系だったやり方もあります。

 財源については宿泊税などの議論が盛んになっている点に注目しつつ、国際観光旅客税の使途をより多くスノースポーツ分野に振り向ける、といった論点もあります。公的支援をきっかけに民間投資を呼び込むという手法が望まれます。

 また、長野県の索道事業は、ゲレンデ毎に完結するきらいがありますが、これを横に繋いでダイナミックな展開に持っていくということもありうるのではないでしょうか。

 政府が進めるGXの目標とのマッチングも十分にあります。山岳リゾートを訪問し、リフト、ゴンドラ、スノーマシーンが二酸化炭素を排出する電源で稼働しているのでは、がっかりさせられます。特に欧州からの来訪者はその点の問題意識が高いようです。脱炭素の観点からの設備投資に公的資金を入れることも要検討です。JR東日本が水素列車実用化に動いています。それを大糸線などのローカル鉄道に導入する中期目標もあります。電気分解を行わずに光触媒の技術で水素を大量に発生させる信州大学発の技術もあり、将来的には、地元産の水素を活用し水素駆動電源によるゴンドラ・リフト導入という構想もあります。

 ゲレンデの活用に関しても、グリーンシーズンに萱や麻の栽培地として活用することも要検討です。世界的に萱文化、麻文化を再評価し復活する動きがありますが、栽培適地が意外と無いとの指摘もあります。私は萱や麻(ヘンプ)振興を図る議員連盟や勉強会も立ち上げてきました。

 こうした現代的価値観や視点も加味したスノーリゾート整備を体系だって行っていくために、関係者を糾合した勉強会を行政関係者も加えて考えていくということもあっていいと思います。できれば、私自身も何らかの形で国政に関与する機会を視野に入れつつ、皆様とともに、問題意識の深堀、議論の蓄積を行い、見出した課題を実現できる機会を窺いたいと思っています。

 私は、超一級の山岳リゾートを擁する選挙区に恵まれ、環境副大臣や衆議院環境委員長も務めさせていただいてきており、環境政策を切り口にリゾート振興を図るという点で、新たな切り口で政策を打っていきたいとも願っています。落選中の身ではありますが、頑張る気持ちはいっぱいです。

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