「有明山に初登頂して考えたこと」
〜大神様のご加護を感じる〜

 安曇野市有明に有明山神社があります。私も代議士に当選して以来、例大祭にご招待頂き、参拝させて頂いてきました。その有明山神社は地元で信濃富士とも呼ばれる有明山(標高2268m)をご神体とする山岳宗教です。いつも例祭に参拝させて頂いている有明山神社は里宮であり、本宮というべきは有明山頂上に存置の奥宮なのです。

 出来るのであれば、一度は有明山山頂の奥宮に参拝登山をしたいと願っていましたが、今年の例祭の際に、山崎佳宏宮司に、奥宮参拝の願望をお伝えしたところ、夏の奥社祭登拝へのお誘いを頂きました。ちょうど国会も閉会中でもあり、参拝登山の申し込みをしました。

 7月21日未明、有明山の麓の有明山神社里宮に集合し、安全登山の神事を行い、奥社祭登拝に出発しました。有明山は急坂が多く、登山の難易度は結構高いところです。登山案内には、初心者にはお勧め出来ないとの警告が記載されています。私は、これまで槍ヶ岳、爺ヶ岳、常念岳、白根山、蝶ヶ岳、白馬岳、蓼科山、朝日連峰、雨飾山、燧ヶ岳、筑波山、樽前山、高尾山、御岳山、開聞岳などの各地の名峰を登り、英国在住時にはスコットランドの名峰ペネバン登頂も果たせました。その意味では、登山の初心者ではないと自認しているつもりでしたが、有明神社の関係者からは、政治活動に忙しく普段登山の為の鍛錬をしていないのに急坂で著名な有明山登山へのチャレンジを心配する声も聞こえてきました。

 確かに、以前の登山時は年齢も若かったし、体重も今よりは軽かったし、68歳という現在の年齢と重量で果たして無事に登山が出来るのかと懸念されてもやむを得ないのだろうと受け止めました。しかし、申し込みを行った以上、なんとかやり遂げたいと念じ、事務所スタッフの赤羽俊太郎氏も誘い、挙行することにしました。

 結果は、スタッフの皆様の励ましで何とか無事に登頂し帰還することに成功しました。黒川沢から山頂を目指す表参道ルートを辿り、山頂での神事を含め10時間を超える連続登山に老体は疲労困憊となりました。持参したペットボトルの2?水はすっかり無くなりました。登山道の途中には、梯子、鎖場が多数あり、アスレチック要素がふんだんで、一定の身体能力を要するチャレンジングなルートであることを実感しました。これまでの人生の中で、ここまで疲労困憊した経験は思い当たらないほどでした。

 しかし、道中の景観の素晴らしさは言葉に尽くせません。サワラ、シラビソ、コメツガの老木、苔むした巨石、巨岩を流れ落ちる滝、シャクナゲの群生、様々な高山植物、ヒカリゴケ、そして山頂から臨む北アルプスの雄峰、眼下に広がる安曇野の佇まいを目にすると、体の疲れは解消する気持ちになりました。山頂での神事にも参加できたことで、何かしら大神様からご加護を頂けたようにも思えてきました。

 登山をしながら感じたことは、常に安全を考えて登坂するなかで、神経を集中し安全な歩みを重ねることは、脳を鍛えることに繋がるんだろうな、とも思えました。同伴の年配者が、ふと、「登山をするとぼけ防止になるんだよ」と呟いておられましたが、全く正しいと思います。

 登山を中で、思わぬ出会いがありました。安曇野市有明に所在する「森のようちえん」の園児だった子どもが小学5年生になり、お父さんと登山参拝にともに参加していたのですが、実は、私が、議員連盟を作って、園舎を持たない「森のようちえん」に公的支援が行われるように汗をかいた経緯をお父さんが覚えてくれており、当時、「森のようちえん」を訪問しお話を伺った際にお会いした幼稚園生であった子どもと5年ぶりの再会となったのです。

 登山は、様々な出会いの機会を作ってくれます。そして、共に共通した共通体験の記憶は生涯忘れることはありません。地元に住まいながら眺めるだけだった有明山に登頂できて本当に感無量です。最後になりますが、こうした機会を作って頂いた有明山神社の関係者、無事に登山参拝が可能となるように同伴して頂いたスタッフの皆様に深く感謝申し上げます。

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