「コロナ禍選挙での有権者の判断に訴える」
〜参議院長野選挙区補欠選挙に臨んで〜

 令和2年の年末に参議院議員の羽田雄一郎氏が新型コロナウィルス感染により突然お亡くなりになられました。「山の日」を国民の祝日に設定する議員立法にご協力頂き、全国山の日協議会でともに役員を務めさせて頂くなどお世話になった方の訃報だけに強い衝撃を受けました。野党の立場にありながら、幅広い包容力をお持ちの羽田さんに対して心からご冥福をお祈りします。

 公職選挙法の規定により、長野県では令和3年4月25日に羽田さんの残りの任期を務める参議院議員を選ぶ補欠選挙が行われることになりました。羽田さんの陣営では、東京都在住の雄一郎さんの弟さんが出馬が見込まれ、弔い合戦との位置づけが行われつつあります。立憲民主党の篠原孝長野県連代表は、「これは羽田家の選挙だ」と発言し、それを裏付けています。

 私はこの発言に二重の意味で疑問を感じました。参議院選挙区のみならず国政選挙に対し、特定の家系の世襲ポスト視をする前近代性に違和感を感じるとともに、感染症で亡くなった現職の弔い合戦をどのようにとらえるべきかという視座に関してです。

 今回の弔いは、残念ながら不本意な形で亡くなった羽田さんの無念をどのように捉えるべきか、という点ではないでしょうか。私は、その答えとは、新型コロナ対策をしっかり行える後任を選定していくことで、二度と現職の国会議員が病院に駆け込む前に無念の死を遂げるということなどが起きない対感染症医療体制を構築していくというのかという点に尽きると考えています。

 私たちの陣営は、小松裕さんという元衆議院議員で信州大学医学部出身の医師を候補者として選任しています。前回の参議院選挙で羽田さんに対して苦杯をなめましたが、落選後も政治活動を続け、病院で医療活動を行う傍ら、新型コロナ感染症が発生してからは、SNSで新型コロナ対策に臨む処方を積極的に発信し、医療専門家として、政治家としてこの問題にスタンバイできている立場を明確にして示してこられました。

 ある意味で、コロナ禍という環境の中では、小松さん以上の候補は選びえない状態にあると言っていいと思います。令和3年1月後半に自民党県連で候補者選定に向けた議論を行う中で、ある県会議員から、「コロナ禍という現状で、小松さんが政治のステージにまだ居てくれてよかった」という絞り出るような声が出されていたのは、率直な県民の声を代表しているように感じられました。

 小松裕さんは、小中高校と長野県内の公立学校で勉強し、信州大学医学部を卒業した生粋の長野県人です。一方で、現在の長野県の参議院議員は長野県出身者ではありません。小松裕さんの相手候補となる見込みの方も東京在住の方で長野県在住の履歴はありません。長野選挙区の全て参議院議員が東京を本拠地とする人で占められることになると、地方に割り当てられている選挙区の数が少なくなり、ただでさえ地方の声が国に届きにくくなっている中で、長野県の立場は果たして守られるのでしょうか。

 いろんな意味で、今回の参議院選挙は、コロナ禍を誰にどの様に克服させるのかを選ぶ選挙、長野県らしさをどう考えるのかを判断する選挙、という位置づけにより判断されるべきと考えています。残された2か月余りの活動の中で、長野県の有権者に訴えて参りたいと思います。

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