「真の日中友好のために」
〜松本日中友好協会総会挨拶〜

 7月中旬に松本市内で開催された松本日中友好協会総会で、現下の日中間を巡る環境変化の中で、以下の挨拶をさせて頂きました。出席の皆様からは一定のご理解を頂きました。

 コロナ禍で世の中の在り様が問われています。そしてコロナ禍で全世界が苦しんでいる間隙を突いて、かねてからの自らの立場を強引に主張し実行する動きが、急速にその勢いを増す国から起きています。南シナ海・東シナ海における領有権の一方的な主張と実力行使、尖閣諸島周辺における理不尽な示威行為、香港国家安全維持法の制定、有無を言わさぬ民主派の取り締まり、日本の重要インフラに対する国家組織を背景にした仮借なきサイバー攻撃など目に余る対応が最近目立っています。韜光養晦(とうこうようかい)というトウ(登におおざと)小平主席の対応とは真逆なむき出しの国家意思の押しつけは、私には戦前の日本帝国の膨張主義以上の衝撃を世界中に及ぼしているのではないかとすら感じられます。

 各地の日中友好協会は、戦前の日本の大陸進出の反省を踏まえ、貧しい中国に支援の手を及ぼしたいとの善意の気持ちから生まれた運動だと承知しています。しかしその純粋な気持ちが萎えるほどの中国側の行動が最近は目立ちます。自民党外交部会も、習近平主席の国賓来日の中止を求めざるを得ないとの悲しい決議をせざるを得ない状況に追い込まれましたが、これは現在の中国政府の身勝手な政治姿勢に起因することは明らかです。

 「強大な政治権力を手に入れてもなお、民主思想の広がりが体制を揺るがし、地位を脅かすと恐れ続ける習近平氏の『治世』。虎よりもひどいと民が逃げ出しそうだ」と評しているのは普段中国に気持ちを寄せてきたと評価される私の地元の信濃毎日新聞のコラムです。確かに、今回の香港国家安全維持法は想像以上に恣意的な運用が可能であると懸念されています。その第38条では、外国人も含め香港外の同法違反も取り締まりの対象になると規定され、同法違反とされた外国人は香港に入国した時点で当局に拘束されるかもしれないと懸念されています。例えば私のこの発言が中国政府に通報され問題と認定されると、私は怖くて中国には入国できなくなります。そうなると、ここにいらっしゃる皆様も恐る恐るの中国とのお付き合いとなります。

 今日、久しぶりに開催された松本日中友好協会総会において私が敢えて申し上げたいことは、当協会においても、真に中国との友好を目指す立場から、1972年の日中共同宣言の原点、例えば「主権及び領土保全の相互尊重」、「平和共存」、「武力による威嚇に訴えない」、「アジア・太平洋諸国において覇権を求めるべきではなく」といった諸原則に照らし、今こそ中国政府に苦言を呈する対応を考えてゆかねばならないという点です。我々が、相手国の機嫌を伺い、忖度をし過ぎることは却って長期的な日中友好の妨げになるとの思いです。私も日中友好議員連盟の会員であり、度々在日中国大使館を訪問、大使とも複数機会晩さん会の機会を頂き、昨年は四川省成都市で日中韓議員友好囲碁大会に参加してきた者でもあり、中国との末永い友好関係構築を願っている者の一人です。

 しかしながら、今日の中国政府の傍若無人の対応は、度が過ぎ、世界中からも顰蹙を買っていると現状にあります。真の友人であるのであれば、度が過ぎた中国の大国主義の振舞いを糺すべく諫言を伝えるべきと考えます。松本日中友好協会としても中国政府に苦言を呈するようにお願いしたと思います。一政治家の思いとしても、我々に仮に政策や行動に関し問題がある場合に、支援者からの指摘はそれを改める大きな原動力となります。日中友好協会も息の長い真の日中友好を実現していくためにも、今こそ、それを実践すべき時であると考えます。ご賢察をお願いします。

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