「特措法に基づく緊急事態宣言を受けて」

 令和2年4月7日は、将来の日本史の教科書に記述される日になるかもしれません。そんな重大な宣言が7日夕方、安倍総理から発出されました。この3月に国会で成立した新型インフルエンザ等対策等別措置法に基づく緊急事態宣言です。首相が本部長を務める政府の対策本部が、区域と期間を指定して発出するものです。今回は首都圏の東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県と大阪府、兵庫県そして福岡県の7都府県が区域指定され、1か月間の期間、5月6日まで効力があります。

 この宣言を受け、7都府県の知事は外出自粛や営業休止などを住民や企業に要請することになります。安倍首相は、「国民の行動を変えることが最も重要だ。人と人との接触を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者数の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができる」と宣言の意義を説明しています。

 米欧の制度と異なり日本の外出自粛要請には強制力がなく、住民の自発的な対応が不可欠になります。外出や往来が減らなければ感染が広がり続け、宣言の期間延長や対象地域の追加に追い込まれる懸念もあります。

 今回の宣言に伴い、政府は今後の対処方針を決め、住民の外出自粛に加え、帰省など県外への移動を極力避けるよう求めています。食料品など生活必需品を買い占めないよう呼びかけています。また、「都市封鎖(ロックダウン)は実施しない」ことを明示しています。

 さて、私の故郷の長野県では、既に首都圏から長野県に退避が始まり、ホテルや別荘地は満杯との情報が寄せられています。軽井沢や八ヶ岳山麓だけでなく、私の地元の穂高温泉郷の別荘地は、久しぶりに賑わっているとの情報が寄せられています。それぞれの地域のスーパーマーケットは、駐車場が県外ナンバーの車で埋まり、売り上げも伸びています。

 首都圏の大学が休校になっていいることから、学生が親元に戻る動きも急で、学生の親は喜んでいますが、周りの住民は心配しています。安曇野市の私の知り合いからは、「隣の空き家に東京から元隣人が戻ってきたが、帰ってもらいたい」との懸念も伺いました。地元の方々の心配は理解できますが、避難する人たちの気持ちも理解できます。

 首都圏の緊急事態宣言への対応は大変な困難を伴いますが、「地域外への移動」についてはどう考えたらいいのでしょうか。政府の要請にあるように「帰省など県外への移動を極力避けるよう」に行動して欲しいとは思いますが、已む無く地元に戻る場合には、避難された者もそうですが、少なくとも2週間は家やホテルの部屋に滞在し、周囲との接触は避け自主的隔離に努めて頂くことを要請したいと思います。

 地元の自治体は、そういう対応を、避難者や規制学生に求め、広報を行うことが重要です。この点について、過日、安曇野市役所を訪問し、市としても受け入れ自治体としてのこうした面での対応を促しました。

 感染症の拡大という事態を前に、地域社会の総合力が問われています。しかし「明けない夜」はありません。いずれ終息し、早期に日常生活が取り戻せることを願って、皆で協力していきたいものです。

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