4月半ばの週末、長野県の新潟県境の中山間地で人口3,000人ほどの小谷村の村議会議員立候補予定者を激励に廻った。定員10名のところ、定員割れの8名が立候補を予定しているということであった。立候補を決意した皆様からは、人口減少が進む中山間地を何とか守り抜きたいとの強い決意を感じるとともに、定数を確保するためにこれはと思う方に声をかけたものの、受けてもらえずに残念であるとの声も伺った。結局告示日前日に出馬を決めた方を含め9名の無投票当選となり、再選挙は避けられたものの1名の定数割れとなった。
地方議員、特に町村議員のなり手不足が深刻だという話が全国的に問題視されている。その為の手法の一つとして、一度廃止した地方議員年金を厚生年金加入という別の形で創設し人材確保のインセンティブとしようという動きもあるが、私の肌感覚としては、余りにも低い町村議員報酬が、結果として若手有志が議員になるのを妨げているように思えて仕方がない。
週末訪問した小谷村の議員報酬月額は17万円である。役場職員給与の平均が29万円であるが、それよりも4割以上低い水準である。この水準では、一家を養うことはできない。村議会議員は、非常勤特別職とは言え、村議会開会中以外にも地域の要望をこまめに拾う毎日の活動量は大きく、片手間ではできない。
結果として、事実上、村議会議員には年金受給者や自営業者でないと就任できなくなっている。若手が村のことを考え議員になろうとしても議員報酬では家族を養えないために断念せざるを得ない。
都市部では、労働組合などが、休職の形で議員就任を許し、少なくとも給与減分について差額を補填する仕組みを採用しているところもあるが、農山村地域の議会ではそのようなことは考えられない。
役場の職員の給料よりも町村議員の報酬が大幅に低いことは小谷村だけではない。南隣の白馬村も役場職員給料が31万円に対し村議会議員の報酬は20万円、筑北村は役場が32万円、村議が半分の16万円である。これに対して、長野県の中でも市は様相が異なる。長野市は市職員平均給与が33万円に対し市議会議員報酬は60万円、松本市は市職員給与31万円に対し市議会議員50万円である(市町村別のデータは総務省のホームページに掲載の市町村別決算カードで公表)。
地域おこし協力隊という制度があり、約5,000名のやる気のある若者たちが農山漁村で活躍している。3年間役場に雇用され、それぞれの任務にあたる。その人たちが、任務終了後継続してその地域に居続け、場合によっては村議として地域のために貢献しようと考えたとしても、協力隊の報酬・活動経費よりも低い報酬では生活できないということではやる気が起きない。
そこで提案であるが、町村議会議員の最低報酬の水準を定め、せめて役場職員の平均給与の水準を町村議会議員の最低報酬として定めてはどうか。村議会議員自らそれを言い出すことは、地元有権者との関係で言い出しにくいことは容易に想像できる。国会主導で政府を動かすことが必要ではないか。
健全な民主主義は、執行部と議会の双方に有能な人材を得て初めて実現できる。私自身も自身の提言実現に向けて行動したい。
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