5月のゴールデンウィークの前半、一泊二日で熊本地震の被災地を訪問した。松本空港をFDAで発ち、福岡経由で熊本入りし、私が消防庁防災課長時代の縁のある災害ボランティアの皆様の案内で現地を訪問し、意見交換を行うことができた。
最初の発災である4月14日から2週間以上が経過し、熊本市内は落ち着きを取り戻し、市役所内での被災者の避難は解消していた。新幹線は復旧し、道路の復旧も急ピッチ、ガス、水道などのライフラインも必死の復旧により機能回復が行われている。震度7という大きな揺れが2度も続いた地震があったにも拘らず、こうした復旧の速さは、日本の災害強靭性の強さを強く印象付け、世界は驚きをもって受け止めている。災害多発国ながら、我々は頼もしい国に住むことができていると感謝しなければならない。
こうした中で、現地入りしているボランティア団体の皆様は、地元自治体の災害対応に厳しい見方をされている。折角の支援の申し出を役所の人員不足を理由に謝絶すること、個人情報を理由に災害弱者支援に必要な情報の提供を拒否する現実、各部署の縦割りの弊害が目立ち提案がたらい回しされること、被災者向けの最新情報のシステムを提供しようとしても「結構です」と断る現状、災害対応の標準化ができていない現状がある等々、特に規模の小さな市町村の災害時の対応に課題がある旨の指摘を伺った。
ボランティア団体の皆様の生の声であり、必ずしも全体的な観点からして適切かどうかの判断は慎重にしなければならないが、今回の災害を通して、災害対応をめぐって様々な課題があることが浮き彫りになった感はある。
熊本市、益城町のボランティアセンターではトレーラーハウスが活躍していた。普段はRVパークなどで使われているトレーラーハウスを牽引車で被災地に運び、センター本部や宿泊施設として機動的に活用できる施設である。今後、仮設住宅を作る需要が出てくると思われるが、トレーラーハウスも仮設住宅機能を十分に果たし得ると考えられ、熊本地震でも試験的に導入を図ることは今後の我が国の被災者支援にも有効のように思われる。
益城町に西村博則町長を、熊本県庁に蒲島郁夫知事を訪問し、両氏にトレーラーハウスの有効性を説明させていただいた。知事は、ご自身の米国滞在時の体験から、米国で平時非常時を問わず広く活用されている実態をご存じで、いわばデュアルユース機能を有するトレーラーハウス活用の意義を即座に理解された。
ボランティア団体の皆様から、改めて今回の災害を通して感じている課題をメモにして送って頂くことを約した。自民党災害対策特別委員会事務局長、衆議院災害対策特別委員会理事としてしっかりと党内、国会で議論してまいりたい。
翌日は熊本市から博多に向かい、FDAで福岡空港から松本空港に戻った。熊本駅を発って3時間半で松本空港への到着は意外に早い。
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