「故郷の果樹・野菜の凍霜害に臨んで」

〜代議士としての機能を果たす活動〜

 5月の連休中に地元選挙区をじっくりと巡った。今年の大型連休は、果樹園、畑地に赴く機会が多かった。その理由は、凍霜害による果樹被害の実態を調査するためである。

 例年に比べ殊のほか低い気温の中で、野菜や果樹は生育に大きな影響が出ている。リンゴなどの果樹は花が咲くころに霜の害に見舞われたことにより、花の芯が茶色に変色し結実に大きな支障を生じる大損害を受けている。

 霜は、地面の低いところを這うように流れ、霜溜まりに滞留する。そのために、人間の目線よりも低いところの果樹の花の被害が大きい。リンゴは上枝、目線、下枝とあり、上枝の花は大きな被害を免れているものがあるが、霜が停滞する高さの目線、下枝の花は壊滅状態という惨状である。もっとひどいのは梨である。梨は枝が上下ではなく水平に横に広がっている。そのため、同じ高さに揃った梨の花は全滅という状態になっている。

 リンゴの矮化もダメージを加速しているとの話を耳にした。リンゴの収穫を簡易にするために、樹木の丈を低くするための矮化により、霜の害が加速されたとの見方である。確かに、矮化リンゴの木の被害も大きい。

 被害に遭った果樹も、放っておくことはできない。収穫が見込めない果樹も翌年、翌々年の収穫を考えると通常の手入れが必要である。収入見込みのない絶望的な作業を継続しなければならない果樹農家の気持ちは察するに忍びない。

 天災を原因とする果樹被害に関しては共済制度がある。しかし、果樹農家はついつい共済保険料の負担を忌避しがちで、長野県内の共済加入率は22%程度に過ぎない。今回も共済未加入農家の救済が大きな問題になっている。

 家族経営の多い果樹農家にとって、天災によるダメージは営農意欲を殺ぐ原因となりかねない。果樹農家にとっての非常事態に備える制度を万全とする必要がある。

 今回の果樹被害を受けて、連休明けの衆議院災害対策特別委員会の質問に立ち、農林水産省に果樹被害の現状認識と制度対応を質した。更に、自民党の小里農林部会長に申し入れ、農林部会の開催をお願いした。小里部会長は開催を快諾され、部会では10県に及ぶ今回の凍霜害の現状について報告があり、政府として万全の対応を図って行く旨表明された。

 農林部会にて私からは、地元の自治体において政府の制度についての理解が行き渡っていないので農家からの相談に的確に対応できていない旨伝えるとともに、後継ぎのいない樹園地が意欲ある果樹農家に円滑に引き継がれようにして欲しいとの希望があり、こうした仲立ちの仕組みの構築についての検討を要請した。いずれの論点も現場を歩いて得た情報に基づくものである。

 小選挙区選出の代議士として、地元が直面する困難に即応し、迅速に動き、現場で得た生の声を的確に永田町で政府に伝え対応策を引き出すという、選挙前から約束してきた代議士の機能を適時適切に果たしていくつもりである。


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