「神道に似た共同体政党としての自民党の位置づけ」

 過日、松本市内の四柱神社の会議室で東北大学の田中英道名誉教授から、日本の伝統文化に関する講話を承る機会があった。田中名誉教授は、「神道的な精神や考えが日本人の行動の底流に存在していることを意識しなければならない」、「和魂洋才はいまだに存在している。和魂に自信を持つことを日本人に呼び掛けたい」、「日本人は土着性が強く、言葉のコミュニケーションも必要としない。例えば侵入と移動を繰り返したゲルマン民族は出自すら分からない。日本人は自分の考えを訴えない。コトアゲしない。しかし少しはそのことを訴えないといけない」、といった話をされた中で、「日本は神道という共同体宗教をもち、その上に個人宗教をもっていると考えることが出来る。聖徳太子の知恵がその後の日本の文化を育んだ」とのコメントをされた。

 その話を伺い、私は、ひょっとしたら田中名誉教授のこの認識は、日本の政党の位置づけにも当てはまるのではないかと考えた。非常に乱暴に対峙させると、「土着共同体政党としての自民党」対「イデオロギー政党」としての他の政党という位置づけが可能ではないかと考えた。

 現在日本は二つの大きな危機に直面している。それは東日本大震災に象徴される「突発性の危機」と徐々に進む人口動態の変化という「緩慢な危機」である。この2つの危機を乗り切るために我が国は分散型国土構造の構築と社会保障制度をはじめとした今日の日本の制度の構造的改革を断行しなければならない。

 二つの危機を乗り切るキーワードは、地域共同体の絆の強化であると考えられている。日本は高度成長の中で都市に人口が集中し、地域や都会の共同体としてのまとまりを希薄化させた。そのことで日本の地域のまとまりは弱くなり、国家や地域の非常時への対応力が弱くなった。その中で土着政党、共同体政党としての自民党の力も位置づけも弱く、曖昧になった。

 しかしこれからの我が国が挑まなければならない危機突破に向けて、地域共同体、コミュニティーの果たすべき役割が再認識されている。そして地域共同体の持つ重みが増すに比例して、土着型共同体政党としての自民党の立ち位置の再確認も必要になって行く。

 自民党の再生は地域社会と伴に歩むことからはじめないといけない。地域社会の声をしっかりと受け止め、その声により国と地域の再生を果たす自民党の位置づけを確認し、そうした自民党への支援と参加を有志の皆様にお願いして行くことが現在の私の責任でもある。


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