むたい俊介
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長野2区 自民党
【メッセージ】
「松本の魅力である「水」について」
〜「源智の井戸」の住民管理〜
最近、松本市内の若手の皆さまの松本の魅力発見やまちづくりに関する勉強会に参加する機会が続いた。忙しがって毎日各地を廻っている中で、ふと立ち止まってじっくりと参加者の皆さんの意見発表を伺っていると驚くべき発見が多々ある。
松本市内の青年実業家集団の松本平の魅力を引き出すための勉強会では、「個々の地域資源の可能性を相互に結びつけストーリーにして地域全体を売り出す」ための戦略構築が語られ、松本市美術館で行われた松本を元気にするワークショップ「まつもと100てんプロジェクト」では、17の参加団体の活動事例発表の後、約70名が各グループに分かれて松本の魅力が語られた。若い人が松本を元気にする会合に熱心に参加している姿に未来への希望を感じた。景観、水、文化、音楽、城下町、公園、家庭の味など松本市の具体的魅力がみずみずしく語られた。
私も、数年前の総務省消防庁防災課長時代に、市民防災、防災教育、防災まちづくりといった仕事に携わったが、今回の勉強会への参加の機会にその記憶が蘇ってきた。当時、各地の防災に関わる市民活動の実践を学ぶ中で、地域に根ざした住民の営みこそが地域力の源泉であることを感じたが、今回も同様の気持ちになった。
ところで、松本市内の今回の勉強会で多くの方々が松本の水の清らかさ美味しさを称賛していた。そしてその象徴が「源智の井戸」であることは間違いないようである。
苗字に井戸の井を用いている私の友人がその井戸の近くに先祖代々住んでいるが、少し前にその友人に「源智の井戸」のことを尋ねたところ、普段何気なく見逃している以下のような貴重な情報を教えてくれた。
・源智の井戸は一時期枯れていたが町内の青年部で掘り返して再びあのように豊かな水が湧き出るようになった。
・その後周囲を整備して市民の憩いの場所となった。現在では近隣はもちろんかなり遠方の人も「もらい水」に来ている。朝から夜中まで車が止まっている。
・パルコのある伊勢町通りに流れている小河川の上流は、うちの町内を流れているが、その源は各戸から流れ出る井戸水がほとんど。
・もともと松本市の水道は源地の井戸が水道水の供給源だった。美術館西にミニ公園として整備されている水道水源「源池の水源」は、城山に貯水池ができて以降も現役で活躍。現在は松塩筑水源の水とブレンドされ、各世帯へ配水。地下水としての成分は薄められているが市内の水道水がうまいといまでも評判なのはこのためではないか。
・我が母屋は今でも井戸水のみ。現在住んでいる家は水道を引いているが、飲料用に井戸水を引いてあり、お茶、コーヒーなど一味違ううまさ。
・私の家には全部で6箇所井戸がある。近所の昔からのお宅には一つは井戸がある。芸術館、美術館の工事に伴って井戸がかれることが心配されたが、幸いというか却って順調に井戸水が湧いている。
・水道料金はかからないが、井戸の量によって下水料金を負担。
・松本の中心部には昔から井戸が多く、個人宅の井戸は美術館の周だけでも400箇所以上はある。今はその片鱗しか垣間見ることはできないが、昔はそこかしこに清水の流れる美しき街だった。
・年2回町内の河川清掃がある。パルコ前を流れる「はんのき川」の上流域を毎回掃除。以前松本市内のご婦人の会が、あまりのきれいさに魚を放流。魚は瞬く間に流されたものの、草木の成長は逞しく、毎度毎度すっかりかりとってしまうのだが、しばらくすると水草をはじめさまざまな草木が生い茂ってくる。水のもつ生命力を感じる。
・本町通りのわき道に人形の街として有名な高砂通りがある。この通りの改修計画があり 側溝の蓋を剥がし、川の流れが見えるような通りにする予定がある。狭い道だが風情の有る景観になると歓迎。
・全国水景色の有る街がたくさんあるが、松本も女鳥羽川が市内を流れているというだけでなく、涌き水の街として整備されていくようだ。
湧き水の井戸を中心に人々の営みが続いてきたこと、それを地域住民の力で復活させ管理していること、その営みを市の当局もまちづくりのコンセプトに生かしていることを、私の友人は淡々と語っていた。
松本市役所のホームページを覗くと、「源智の井戸」のことが書かれている。それによると、松本は、女鳥羽川と薄川のつくる複合扇状地の上に市街地が形成されており、その地下水が各所に湧いて、飲用水、堀の水、酒造りの水、染物を曝す水、生糸をとる水などとして何百年も親しまれてきたのだそうだ。「源智の井戸」もその一つであり、天下の名水として「善光寺道名所図会(ぜんこうじみちめいしょ ちめいj?づえ)」という江戸時代出版の本にも紹介されているのだそうだ。現在、松本市ではこれを市の史跡として指定している。
ところで、水道事業に関して、我が国では地方公営企業で営まれているがこのところ民営化の議論がある。随分前にNHKの番組で、米国で水道事業を民営化したところその企業が買収され、M&Aの繰り返しにより結果的にドイツの多国籍企業がその村の水道事業を支配し、水道料金値上げ、サービス低下に音を上げた村が数百億円をかけて買い戻すための交渉と住民投票を始めたという内容の放送があった。水は誰のものか、命の水を他人に支配されていいのか、という訴えが番組の中で語られていた。水資源の制約の問題が国際的な関心の的になっているが、「源智の井戸」の管理の歴史を認識するにつけ、水管理の問題は住民自治の原点でもあることを改めて感じた次第である。
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