むたい俊介
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長野2区 自民党

【メッセージ】
「地域経済循環分析ツールを使った自治体の脱炭素戦略」

 ロシアのウクライナ侵略により、先進国の中で特にエネルギー自給率が11%と極端に低い我が国の脆弱性が際立っています。ロシアの侵略を経済制裁により思い止まらせるためにサハリンからの原油や天然ガスの輸入を止める選択肢は、我が国のエネルギー需給を逼迫させ、日本国民を苦しめる結果となるとして、西側先進諸国もその選択肢は強要しないという状態になっています。

 しかし、そのことは結果として、ロシアのウクライナ侵略を資金的に支援する結果となり、倫理的に許されるのかという別の問題が生じています。

 こうしたジレンマに陥った最大の理由は、何と言っても我が国がエネルギーや主要農産物を海外に依存する国づくりに邁進してきたという我が国自身の国の基本方針に大きな問題があったということに他なりません。

 平時の発想で、非常時への備えを疎かにしてきたということです。実はエネルギー安全保障の観点からだけではなく、日本の国の豊かさの実感にもつながる課題を包含してきています。

 これだけ日本は経済発展してきているのに、一人当たりの国民所得はかくも少ないのか、地域社会の活性化は日本の経済力に見合ったものとなっていないのか、との疑問が予てから指摘されてきました。

 そうした観点に立ち、実は環境省が地域経済循環分析というツールを開発し、全国の地方自治体ごとの地域経済循環構造を改善するためには何が必要かという政策立案の前提となる手法を用意しています。

 それぞれの地域の立地、人口、産業経済の特徴等を前提に、それぞれの地域に賦存する地域資源を生かし、短所を補うという観点から、特に低炭素社会実現により地域経済循環を実現するという理念に基づき、再生可能エネルギーの導入、エネルギー効率の改善、省エネルギーの促進、活動量の適正化、公共交通機関を骨格としたコンパクトシティという政策を導入した場合の経済予測効果を分析しています。

 例えば私の故郷の長野県では、2015年度試算で7兆9393億円の付加価値を稼ぎ、分配所得としては8兆8346億円を得ているとしつつ、他県の本社等に4580億円が流出している現状を指摘しています。その上で、長野県では電気、ガス、石油代金などのエネルギー代金が2285億円県外に流出していると産出しています。一方で、長野県内の再生可能エネルギーの潜在可能性は地域で使用しているエネルギーの58%を確保できると試算しており、これをエネルギー代金に換算すると1325億円が長野県内に還流しうるという勘定になります。因みに、長野県内で排出されるCO2は1550万トンと推定されています。エネルギーの再エネ転換により、CO2も大幅に削減できることになり、温暖化対策が実は地域経済活性化と裏腹の関係にあることを示しているのです。繰り返しになりますが、この数字をマクロ的に分析すると、長野県内で資金循環をできるだけ完結するためには、地域資源、特に再生可能エネルギーの可能性を探っていくことが有効であるという結論になっています。

 脱炭素戦略こそが、地域所得の域外流出を止め、地域経済の活性化を実現し、それが結果的には、化石燃料支払いによる年間20兆円にも達する我が国の海外資金移転を止め、国富が国内に留まる経済転換につながるという分析をしているのです。

 環境省の地域経済循環分析は、全ての自治体のデータが用意されています。例えば私の地元の松本市の数字は、1兆484億円の付加価値を稼ぎ、1兆51億円の分配所得を得て、エネルギー代金を308億円域外に流出させ、域内の再エネ潜在可能性は29%でその転換が実現すると89億円の資金が域内に還流しうると分析しています。因みに松本市内のCO2排出量は175万トンと試算されています。

 もう一つ、安曇野市の数字ですが、3378億円の付加価値を稼ぎ、3971億円の分配所得を得て、エネルギー代金112億円を域外に支払い、域内の再エネ潜在可能性は30%でその転換が実現すると34億円が域内に還流しうると分析しています。因みに安曇野市内のCO2排出量は76万トンと試算されています。

 全国の地方自治体は、政府の2050年カーボンニュートラル宣言を受けて、それぞれの立場で急ピッチでそれぞれの目標を立てて処方箋を作ることが必至です。その場合に、客観的データも十二分に活用し、地域経済を元気にするという観点に立って、脱炭素政策を進めていくことが求められます。わたしも、環境省の政務三役の一員として、脱炭素社会実現に向けて動きます。

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