むたい俊介
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長野2区 自民党
【メッセージ】
「政治家と憲法学者の立場」
〜衆議院憲法審査会における主張〜
6月4日の本審査会での参考人質疑のテーマは、憲法保障をめぐる諸問題(立憲主義、改正の限界、制定経緯及び違憲立法審査の在り方)についてであった。予想外の展開により、平和安全法制についての質疑も行われ、これに対して世間の耳目を集めることとなった。
私は、憲法審査会の議論は、中長期的視点で大局的に行われるべきと考えており、現に行われている法案審議にこれを結びつけることには慎重でなければならないと考える。特に、平和安全法制について、その場で憲法適合性を問い、その場で結論だけの判断を加え返答するというのはあまりにも乱暴であり、発言の重大性に鑑みれば、質問答弁ともにより慎重な配慮があり得たと思う。
今回の参考人は当然のことながら、安保、国防、外交の専門家ではない。私としては、憲法学者のみなさまにも、現実問題として激変する国際環境を適切に評価し、これを適切な形で憲法解釈に反映していただく努力を期待したかった。参考人の査定に従い、仮に今回の法制整備をあきらめ、憲法下で許されるギリギリの範囲の対応を怠ったことにより生じるリスクに責任を負うのは、憲法学者ではなく政府・政治家であるということを忘れてはならない。その視点から、リスクの結果責任を負う立場で、現実の状況に応じ、我々は憲法解釈の適正化に取組んできたということではないか。
先日の憲法審査会で各参考人が指摘した論点に、「武力行使との一体化論」があった。例えば長谷部恭男参考人は、「非戦闘地域」の枠組みを「現に戦闘行為を行っている現場ではない場所」に変更すると「武力行使の一体化」になり憲法第9条により許されないとされている。しかし私は、「非戦闘地域」という概念は憲法論そのものではなく、憲法上一体化しないとされる限界のさらに手前に線を引くという立法論のレベルであり、どうしてこれを変更すると直ちに違憲ということになるのか理解できない。憲法論のレベルで言えば、平成9年2月13日の大森内閣法制局長官によるいわゆる大森4要件による総合考慮という考え方は維持されたうえで新しい線引きがなされていることを踏まえるべきではないか。自衛隊の活用が円滑かつ安全に実施できる区域、つまり実施区域の指定についても、国会答弁により「部隊等が現実に活動を行う期間において戦闘行為がないと見込まれる場所を指定する」との具体的考え方が示されており、参考人のみなさまが今回の線引きの変更により「一体化」すると言うのはさすがに論理の飛躍があると考える。
今回の一刀両断のような参考人の意見開陳は、現実の世界の安全保障環境の激変、平和安全法制の構築にあたっての精緻な議論を踏まえないものであり、国民の安全・安心をより強固なものにするという政治の真摯な努力を損なうやりとりであったと考える。
ところで私は、今年の2月にドイツのベルリン・フンボルト大学法学部のヴァルトホフ教授から、ドイツの憲法の運用について講義を聴く機会があった。その際私から、ドイツの基本法は占領が解かれてからの制定であったが、当時占領軍から早期の憲法改正の要求はなかったのかと質問した。それに対して、ドイツでも圧力はあったが、日本と異なりはねつけることができたとの話を伺った。
国の基本法を定めるにあたり、我々は主権が制限される中でドイツと異なる取扱いをとったのはなぜだったのかということを、この場で改めて検証する必要もあると思う。
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