むたい俊介
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長野2区 自民党

【メッセージ】
「大都市の自転車利用促進に関する意欲的取り組み」
〜納税者負担ゼロのパリ市の自転車レンタルサービス〜

 パリ市が大規模な自転車レンタルサービスを始めたとのレポートが自治体国際化協会のパリ事務所のホームページに掲載されている(参考)。

 フランス語の自転車「Velo」と自由「Liberte」を合わせ、「Velib'」(「ヴェリブ」)というのがこの仕組みの名前である。パリの750箇所に専用の駐輪場があり、全部で10,648台が貸し出されているというものであり、パリ市の気合いの入れようが分かる。私も2008年5月にパリを訪問した折にその実物を見る機会があったが、渋いグレーのVelib'号を乗り回す人が結構見受けられた。

 その仕組みであるが、利用者は予め登録する必要がある。登録は有料だが、1年登録料が29ユーロ、1週間5ユーロ、1日1ユーロと廉価だ。それ加えて毎回の使用料がかかるが、最初の30分は無料で、その後30分延長するごとに1ユーロの追加になるというもの。つまり30分ごとに駐輪場に戻して乗り継げばカード代以外はかからないというしゃれた仕組みである。

 そして、驚くべきことに、この事業は納税者負担がゼロである。パリ市と広告大手ジェーシードゥコー(JC Decaux)が契約することで、同社が市内で優先的に1,600の広告パネルを設置する権利と交換に運営に要する経費を負担することになっている。この契約により、広告料金は市の財源となり、市の財政も潤うというものだ。

 パリ市では、市民や観光客に対し、交通渋滞知らずで環境に優しい自転車でセーヌ川沿岸をめぐり、ルーブル美術館やエッフェル塔観光を楽しんで欲しいと呼びかけている。

 当初、パリ市は拠点を2007年末までに1451か所、自転車台数2万600台にまで増やす予定があるという話であり、それまでに20万人以上の利用者を期待しているとのことであった。

 フランスでは、自転車は車道を走らなければならないが、パリ市長は街からの車の締め出しも進めており、今後自転車利用の実があがってくることも見込まれている。

 ところで、このパリ市の自転車レンタルサービスについては、私がロンドン在住当時のロンドン市のケン・リビングストン市長が大変興味を持っているとの報道がイギリスでもなされていた。パリのやり方が、やり手のリビングストン市長の琴線に触れたようであった。

 ロンドン市は、中心市街地の混雑緩和のためにコンジェスチョンチャージという中心市街地への流入車両に対する課徴金制度を導入しているが、これが大変評価が高く、ロンドンは以前のような混雑はあまり見られなくなったと言われている。この混雑税導入によるロンドンの混雑解消が、フランスとの2012年のオリンピック誘致競争において、ロンドンが勝利した原因のひとつだと指摘する向きもあるほどだ。

 英国におけるこの混雑税の仕組みは、バーミンガムなど英国のほかの都市への広がりを見せているが、ロンドンでは、これに加え、一日2キロ歩こう運動、自転車利用運動といった取り組みにも熱を入れている。

 日本でも松本市などで乗り捨て自由な自転車利用制度が導入されているが、環境にやさしいこうした取り組みは今後世界の都市で更に広範な広がりを見せるものと思われる。東京都はロンドンオリンピックの後の2016年のオリンピック誘致に向けて、体制を整えているが、都市の環境政策自体が都市のイメージを良くし、結果的にオリンピックの誘致と密接に結びつくという観点もあるのである。

(参考)
自治体国際化協会パリ事務所の以下のホームページにパリ市の自転車レンタルサービスに関する詳しいレポートが掲載されている。
http://www.clairparis.org/quoideneufjp.php?itemid=320

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