むたい俊介
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長野2区 自民党

【メッセージ】
「「大岡裁き」に学ぶ「特例公債法案」の取り扱い」

 大岡越前守の有名な裁きに「子争い」というものがある。二人の女性の何れもが子どもの本物の母親だと譲らないため、町奉行に判断を委ねたところが、越前守はどちらの女性の話にも決め手がないと感じた。

 そこで、越前守は二人の女性に子どもの両手を引っ張るよう指示した。その痛みに悲痛な声で泣き叫ぶ子ども。思わず一方の女性がいたたまれなくなり手を離したところ、越前守は「我が子の痛みを感じる者こそ本当の母である」と裁断した、というのがこの話のさわりである。

 解散時期をめぐり与野党の対立が続く中で、特例公債法案と衆議院の定数是正が解散と引き換えの取引材料となっている。何れの法案も、公的サービスの財政基盤として、また、憲法違反の状態を解消するという観点で、喫緊の解決が迫られる課題である。

 特に、特例公債法案は、38兆円もの政府資金調達の権限を与えるものであり、それ無しには国庫が資金ショートするという異例の事態を引き起こしかねないものである。

 与党は、国民生活を犠牲にすべきではなく、「近いうち解散」という約束の有無にかかわらず野党が譲歩すべきと迫る一方で、野党は、「近いうち解散」の約束を誠実に履行するのであれば法案可決に賛成すると主張し、両者とも国民生活を守るために双方で相手の譲歩を主張している。

 ここにきて、11月末には国庫が枯渇する事態を迎え、野党側が主張を緩め、「近いうち解散」の履行の約束が無くとも、法案に賛成する方向に考え方を改めたと伝えられている。

 8月8日に「近いうち解散」という約束を行い、既に3カ月近くが経過しようとしているにも拘らず、解散などはどこ吹く風の与党に対し、野党のみならずマスコミ、国民の反発が高まっている。その中での野党の譲歩を見て、私は、冒頭掲げた大岡裁きを想起した。この痛みにいたたまれなくなり手を離した母親に相当するのは与野党のいずれの一方であろうか。

 越前守が現代に蘇るとしたら、「国民の痛みを感じ、主張を緩めた、野党こそ、真に政権を担う相応しい政党である」と判断するに違いない。

 そしてその姿を見た国民は、与野党の何れを支持するのか、結果は明白である。

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