むたい俊介
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長野2区 自民党
【メッセージ】
「大学生合宿ゼミを中山間地域自治体で行う意義とその受け皿の手法」
〜「地域おこし協力隊」の有効活用を〜
2012年8月のお盆明けの週末、神奈川大学の私のゼミ生と松本大学の中島ゼミの学生の合同研修会が1泊2日の日程で生坂村にて行われた。神奈川大学の生坂村研修は3年目、松本大学の研修は今回が初めてであった。
都会の大学生に人口2,000人の中山間地域の小規模自治体の現状を、自治体の責任者から丸ごと紹介して頂きたいとの私の依頼を、私の高校同級生の藤沢村長と神奈川大学OBの藤原教育長が無理して引き受けて頂いて本年で3年目を迎えた。そして今年は、普段から村の活動に協力している地元の松本大学の中島教授のゼミ生も参加してのユニークな大学合同夏期講座となった(注1)。
中山間地振興には様々な手法があるが、都会の学生を受け入れ、学生が頭の中で知っているつもりである農山村地域の抱える課題を、村の理事者から直接聞かせるということもその1手法であると私は考える。合同研修では、理事者のほかに都会から就農のために村に移住してきた青年からも話を聞く機会もあった。
20歳前後の大学生にとって、実務者やiターン社会人の生の話を聞く機会は極めて新鮮である。特に、都会生活に慣れ都会の利便性が普通のように思っている学生にとっては、多くのことを自分自身で行わなくてはならない農山村の生活は別世界である。
「都会の過大な仕送り(地方交付税)により農山村の生活が維持されていることはおかしいのではないか」と漠然と感じていた学生も、村長の話を聞き、農山村の営みが維持されてこそ都会の営みも維持されるという共存共栄の関係がおぼろげながらも理解できたようであった。
一方で、中山間地域の村にとっても、中長期的に見て都会の学生を村に受け入れることの意味は大きい。私のゼミ生も、3年間で50人以上が生坂研修を経験していることになる。これが継続すると、生坂ファンが増えて行く。生坂にとってはこうしたファンを蓄積する意味は大きい。将来生坂に移住する若者もいるかもしれないし、ふるさと納税などによる将来の潜在納税者も涵養出来ているかもしれない。何より大事なのは、農山村の課題や悩みを、都会の若者に理解してもらうことにより、農山村を支える地方交付税制度などに対する理解が深まることである。都会人の農山村に対する「思いやり」の気持ちが育まれる。
問題は、こうした研修の受け入れが、現状では限られた人数の役場関係者の献身的な犠牲的精神により支えられているということである。「同級生」村長と、「同窓生」教育長が、スケジュール管理、物資の買い出し、マイクロバスの運転まで自身で行っていることは実は大変なことである。ただでさえ定員縮小の中で、こうした企画を実現し継続していくのは決して簡単ではない。
そうした問題意識に立てば、最近始まった総務省の企画である「地域おこし協力隊」というプロジェクトはヒントになる。都市部の住民が過疎地域などの自治体からの委嘱を受け、1~3年程度住民票を移し、それぞれの地域の特性に応じて地域活性化に取り組む特別交付税を活用するこの制度は、個々の自治体の問題意識に応じて協力隊の任務を決めることが出来る。
例えば、大学の活動を活用して地域再生を果たしたいとする自治体があれば、大学と地域の連携を取り持つ機能をこの協力隊員に持たせることで、役場の過重な努力を軽減することが出来る。
地域と大学の連携が長続きしないのは、中を取り持つ役割を果たすファシリテーター、マネージメント機能が、中山間地域の町村にあっては、弱いか存在しないことに理由がある。
生坂村での神奈川大学と松本大学の合同ゼミ研修の数日後、「地域おこし協力隊」の制度と運用に関する総務省の澤田史朗室長と麻績村、生坂村、小谷村、小川村の4村に協力隊員として活動している皆さまによるシンポジウムを、私がファシリテーターを務める形で実施した。(注2)そして澤田室長は、この協力隊制度を例えば地域と大学の連携交流の中核機能として活用してもよいのではないかと語っていた。
中山間地域の再生のヒントは、都会の若者のエネルギーの導入、その仲立ちを行う人の発掘、人の触媒機能の有効活用にあることは間違いない。
(注1)神奈川大学と松本大学の生坂村合同ゼミ研修についての地元紙の記事
https://www.mutai-shunsuke.jp/activity/1208.html#120817
(注2)「地域起こし協力隊」のシンポジウムの様子(Ustream)
http://www.ustream.tv/recorded/24818020
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