「地域経済の落ち込みと政治の不在」

 長野県、特に松本を含む中信地域の地域経済の落ち込みが大きい。職安は雇用を求める人で混雑している。今松本で混雑しているのは職安と社会保険事務所だけだと言われている。

 平成12年から18年の6年間の間に、長野県内の県民一人あたりの所得は全国一の下落率を記録した。1割以上県民所得が落ちたのである。平成12年度の313万円が18年度には 279万円となり全国順位が10番から22番に落ち込んだ。

 赤字法人比率はこの数年連続して全国ワーストワンの記録を更新し続けている。この地域で事業をしても儲けが出ないのである。

 特に長野県の第二選挙区の状況が悪い。松本ハローワークによると平成21年5月の松本管内の有効求人倍率は0.37と、全国平均の0.44、長野県全体の0.39を大きく下回る状態となっている。統計開始以来最悪の数値を継続している。

 この原因は何か。全国的に経済情勢が悪い中で、特に松本地域を含む第二選挙区が悪い原因は何か。

 この地域に物流などのインフラ整備は遅れに遅れている。朝夕の渋滞のメッカとして有名な松本市内を通過する国道19号線バイパス工事は残り1.6キロ区間が今のペースだと20年以上かかると予測されている。上高地への入込客は松本ではなく岐阜県高山から入るものが多くなっている。富士電機の開発部門が山梨県に移転することが決まってしまった。テレビ信州の本社が松本市を撤退した。

 首都圏から長野県中信地区へのアクセスを飛躍的に向上させるリニア新幹線の路線決定如何によっては中信地区の陸の孤島化が定着することになりかねない。

 この地域の経済停滞の大きな原因に、明らかにこの数年間のこの地域の選挙区の政治的機能の空白がある。「地域の課題が国政レベルにおいて進展しない」、「地域の声が国会議員を通じて国政に反映されない」、「地域の将来をともに語る国政のパートナーが不在である」、「地域において存在感のある衆議院議員が不在である」、という切実な声が第二選挙区に満ちている。

 地域の様々な課題を解決し、地域発展の障害を解消できる「機能」し、「役に立つ」衆議院議員がこの地域に求められている。小選挙区制度の下ではただ一人の衆議院議員しか地域を代表できない。この立場の者が果たすべき役割は非常に大きい。地域間競争が益々激しくなる中で、政治のかなめに立つ者が機能不全を起こしては地域の発展にとって深刻な結果をもたらす。既にその結果が経済指標として表れている。

 次期国政選挙で問われているのは、この第二選挙区の「選手交代」であることは明らかである。


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