「格差是正を念頭に置いた制度の構築を」
〜令和2年の政策の方向〜

 令和2年の新年を迎え、皆様には安らかにお過ごしのことと推察申し上げます。私は代議士生活8年目を迎え、自らが正しいと考える政策を、地元の声、社会の情勢をしっかりと踏まえ、推進して参りたいと考えています。そのような意味で、私は、これからの時代、各種制度を考えていくうえで、格差是正という観点をより重視した政策に重点を置いていくべきだと考えています。その理由は、次のようなものです。

 グローバリズムが世界を席巻したと思った途端に、反グローバリズムの動きが世界で湧き上がっています。グローバリズムの旗手であったはずの米国が自国第一主義を前面に掲げて外交政策を打っています。何より皮肉なことに現在グローバリズムを最も熱心に訴えているのは中国という有様にはびっくりします。

 何がそれをなさしめたのか、それを突き詰めていくと、グローバリズム下での格差拡大という社会現実であることは多くの識者が指摘しています。故に令和の時代の政策は、如何に格差拡大を抑制するか、ということにあると考えなければなりません。それが乱暴なポピュリズムの浸透を抑止し、世界の自由民主主義を守ることにつながるのだという観点に立っています。

 税制、予算、国の制度もその観点から再構築が必要となります。これまでの税制改正の動きは所得税制のフラット化、法人税率の引き下げ、消費税の引き上げは、どちらかというと経済成長や競争力を高める目的の元での制度改正の積み重ねでした。その結果はどのようなものであったのか、「格差」の観点からの検証も必要です。もちろん格差の問題は、税制だけではなく社会保障支出を含めた歳出も含め、トータルで見てゆく必要があるのは言うまでもありませんが、これからは、一種の倫理観を踏まえた税制、予算、制度の在り方について突っ込んだ議論が必要になってくると考えられます。

 法人税引き下げの結果大企業の内部留保が積み上がっていること、金融所得課税が富裕層優遇となっていること、消費税が経済的弱者にどのような影響を及ぼしているのか否か、これらを検証し出口を見出す必要があります。その一方で大都市と地方の格差の問題も注目しなければなりません。私は令和2年度の税制改正の議論の中で、東京一極集中是正税制の在り方について議論を始めるべきと訴えました。併せて、最低賃金の水準が都会が高く地方が低い現状は東京一極集中を国の制度で促進しているようなものだとも訴えましたが、残念ながら自民党のとりまとめの中で正面から取り上げられることはありませんでした。しかし、こうした視点も格差是正の一環であると考え、今後の議論の展開に臨んでまいりたいと思います。

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