「北九州豪雨災害対応にトレーラーハウス活用を提案」

 7月の末、羽田空港から福岡空港に飛び、豪雨災害に見舞われた福岡県朝倉市を訪問した。現地で旧知の災害ボランティアの皆様と合流し、森田俊介朝倉市長に義援金を手渡した後、同市松末地区の被災現場に赴き、泥が流入し片付けに追われる被災者の皆さんの話を伺った。

 被災した自宅の窓に日の丸を掲げたお宅を訪問すると、奥様が行方不明だと語ってくれた。自宅に陣取り、唯々奥さんの無事な帰還を待つ気丈な姿に返す言葉を失った。合併前の元町長の中嶋玲子さんのご自宅も訪問した。裏の家屋を濁流が突き抜けたおかげで道路に面した家屋の被害が比較的少なくて済んだ被災時の状況の説明を受けた。仮設住宅建設までの時間がかかること、分散型の避難施設が欲しい要望を伺い、そうであれば熊本地震の際に益城町に設置されたトレーラーハウスが福岡市に10台待機している旨を伝えると、是非松末地区に欲しいという希望を表明されておられた。旧知の森田朝倉市長に話をしてみるとおっしゃって頂いた。

 真夏の暑い時期に雑魚寝の体育館などの避難所に長期間避難を余儀なくされることは見るに堪えない。仮設住宅の整備や公営住宅、民間住宅などにみなし仮設住宅を求める手法も有効であるが、自宅近くに避難施設を求めたいとの希望もある。そういう声に迅速に答えるために、トレーラーハウスは選択肢として有用である。

 福岡県庁に大曲昭恵副知事を訪問し、こうした被災現場の声を伝え、被災者支援に向けたトレーラーハウスの利活用についても検討を促した。大曲副知事は、昔、キャンプでトレーラーハウスを活用した経験があるそうで、その有用性について即座にお分かり頂けた。朝倉市を選挙区とする地元の原田義昭代議士にもトレーラーハウスの機能についてお伝えすると、関係自治体のトップに薦めてみるとの返事を頂けた。

 被災時の避難所、移動事務所機能として有効性の高いトレーラーハウスについては、まだまだ自治体の災害担当者に知られていない。そのために最初からそもそも選択肢として検討されるに至らないことが多い。朝倉市の災害担当部長も、トレーラーハウスの存在をご存じなかった。災害は何時どこで起きるとも限らず、すべての人が免れ得ない事象である。いざという時に少しでも日常生活に近い環境を用意できる選択肢を複数用意していくことも災害対応の知恵である。


Copyright(C) Mutai Shunsuke All Rights Reserved.