「豪雪に見舞われた地区を訪問して」

 豪雪に見舞われ災害救助法の適用を受けた長野県小谷村、信濃町を2月初旬に訪問した。小谷村では大網地区、信濃町では古海地区が特に積雪が激しく、現場では文字通り雪に埋もれる集落が目に飛び込んできた。

 それでも流石に道路の除雪は迅速で、最低限のライフラインの確保は万全であった。地元の行政機関や建設業界のフル稼働の懸命の努力に頭が下がる思いだ。

 問題は個々の住宅や公共施設以外の神社などの除雪である。高齢化が進んだ集落では除雪作業も年寄りの仕事となっている。近くの都市に下りて行った後継ぎの息子が手伝いには来ているものの、目立つのは年寄りの姿である。屋根に登っての作業は心許ない。それでも人の住んでいる家は良い。空き家の雪下ろしは進んでいない。

 都会の人が空き家を購入しても雪下ろしまでは行う余裕がなく、放置されている姿は悲しい。小谷村では屋根の雪除けを、「雪下ろし」とは言わない。積雪が多すぎ、雪を下ろす場所がないので、屋根の雪を除けることを「雪掘り」と形容する。まさに実態を的確に形容する言葉である。

 小谷村も信濃町も役場の職員は除雪作業に総動員である。公務員に対する地元の目が厳しい中で、役場職員が直接住民に貢献できる作業に従事することは必要なことであり、住民の期待もそこにある。

 自衛隊や県庁職員の動員も行われている。学生ボランティアの姿もちらほらと見える。考えて見れば、期末試験が終わり、学生に時間の余裕がある時だ。地元自治体が地元の大学に要請し、学生に人海戦術が有効な雪掘りに従事してもらえるような対応も考えてもいい。

 私が奉職する神奈川大学では、「ボランティア駅伝」と冠し、岩手県遠野市を拠点にした災害ボランティアに学生を継続派遣している。2011年末で延べ1100人を超える学生が被災地に派遣されている。豪雪地域も支援先として追加する検討が行われてもよい。被災自治体に遠慮は無用である。


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